「ナイスゲーム。こんな良いゲームが僕もできるようになった」ホールアウト後、片山は自画自賛を惜しまなかった。苦しい内容の1日だった。
アウトの2つのパー3でボギーが先行する苦しい展開。4番は4番アイアンでグリーンオーバー。7番はグリーン手前のアプローチが“よらず入らず”で、6アンダーパーまであった貯金は4アンダーパーに。アッという間に首位から脱落、試合を一気に混沌とさせた。「バーディーチャンスは入らず、プレーのかみ合わせも悪く、スコアを落とす要素しかなかった」片山はあとでふりかえったが、2連覇に向けチャンスをつなぎ止めるか、手放すか、運命の分かれ目が毎ホール続くピンチ。
だが、見事耐え
抜いたのはインだ。14番で1メートルにつけ、この日初めてのバーディーを決めると17番、18メートルもあるロングパットを「強い!」キャディーが思わず叫んだほどしっかり打ち、バーディー。首位に1打差で乗り切った。
「ミスをして、怒ったり後悔している暇は、トーナメントにはない。その間にもライバルたちはバーディーを取ろうとがんばっているのだ」大会直前、求めたジャック・ニクラウスの本にそんな言葉を見つけた。メモ帳にその言葉を書きポケットに忍ばせてあるという。
「今日、すんなりいいスコアでいけたら、最終ラウンドは楽になったかも知れない。でも、このままじゃ終われないと頑張った今日は貴重。準備してきて、着々と僕はプレーしていることに変わりはないですから」
昨年4打差を最終ラウンドに逆転して感激の初優勝したタイトルは、いまわずか1打差のところ。「あと18ホール、やってきたこととの戦い。自分との戦いです」2連覇をどんな形で引き寄せるか、楽しみだ。
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