石川遼は出足から躓いた。スタートの1番、この時点で2000人を越えるギャラリー注視の中、ティショットを右林に打ち込むとボールは気の根元でフェアウェイ後方に出すのがやっと。ボギーが先行した。2番パー3もバンカーに入れ連続ボギー。3番の660ヤード、名物の長いパー5でフェアウェイをキープするビッグドライブから2メートルにつけるバーディーで拍手をもらったが、4番で3パットするとスコアを崩し9番ではダブルボギーでアウト42。しかし、このあとドライバーショットが立ち直ると14番、16番をバーディーとしインを35と巻き返した。
「パットのタッチの誤りに気がつかず、気がつくまでに9ホールもかかった。悔
やまれる」ホールアウト後は練習場に走りインタビューでは珍しく頭を抱えた。
初めて出場する日本オープン。スタート前、ロッカールームで不思議な体験。「空気がうすく気持ちが悪かった。息がしづらく、身体が堅くなっているのがわかった」初めての体験だった。
大御所、中嶋常幸と谷原秀人と同組対決。「二人のオーラを感じた。自分に気を使ってくれているのが手に取るようにわかった。うれしかったです」並み居るプロを15歳で退け、マンシングウェアカップで優勝の天才児も、ようやく16歳になったばかりの少年ゴルファー。プレッシャーという言葉は一切、その口からでてこなかったが、大舞台の緊張は想像以上だったのだろう。「僕が16歳で同じ組み合わせで回れば過呼吸というか、心臓がパクパクすると思うが、彼がドライバーをもって貫き通したことを評価したい。悔しいだろうけど、今日も勉強だろうし明日も勉強」中嶋は暖かかった。谷原も「ほんとに気持ちよく振るな。気持ちのいいゴルフだ、前半の流れを立て直すチャンスを逃したが、後半はさすがだった」と言った。
「今日、悪い点がはっきりしたので、第3ラウンド進出の可能性に賭けられる」石川はいつまでも、こだわっていなかった。第2ラウンドを「前半が楽しみなラウンド」とキッパリと位置づけた。こういうことだった。
「今日はパットのタッチに問題があることをわかるのに9ホールかかった。明日はこれを3ホールで自分のものにしたい。この運を、最大限明日に生かしたい」このままだと後半進出は危ない65位タイ。巻き返しに全力投入する第2ラウンドも”主役”となる。
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