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ポール・シーハン |
「ティーショットをラフにいれない」「グリーンへのショットはピン手前から攻めること」「3つ目は強い気持ち。気持ちを強く持ってどう4日間を乗り切れるかだね」
ポール・シーハンは言い切った。
感触をつかんだ表情だった。
スタート時は無風、午後になると7、8メートルの風が吹いた。グリーンが乾くか、とみていると案の定、グリーンは濃い緑から黄みどり色に表情をかえた。と、スピードも速まりコンパクションも堅さを増した、ボールは奥にこぼれることが多くなりグリーンのスピードは確実に速くなっていった。
大会に先駆けること6週間前の9月4日、相模原ゴルフクラブ・東コースで、日本オープンのメディア・デーが行われた。ディフェンディングチャンピオンのポール・シーハンもたっぷり1日かけてラウンドをこなした。
メディアにコースを公開し2年かけて仕上げたコースを関係者ともども確認するメディア・デー。競技委員会、放送関係、コース管理者が、日本オープンの舞台の出来上がりやいかに、固唾を呑む大会前の瞬間だ。シーハンは栄えあるチャンピオンとしてメインゲストであった。06年、霞ヶ関カンツリー倶楽部・西コースでは3日目にトップに立ち最終R、2位に3打差と圧勝した。 |
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シーハンは、メディア・デーで2本のドライバーを使った。186センチ、82キロ。しなやかな長身だが、パワーは正確性維持に向けられた中距離ヒッター。飛距離は280から295ヤードで、球質はストレートからフェード。フェアウェイキープを大前提のゴルフは安定して見事だった。「パー5のティーショットに一番神経を使うね」という。「ラフがタフで、ラフに入れるとバーディーがノーチャンスになるから」パー5への警戒感がティーショットというのは驚きだった。2オンを狙い、飛距離優先でたたき、もし曲げても3打目でリカバーできる、が“常識”だろう。だが、シーハンの中では、違うのだ。 |
その日、4バーディー、1ボギー。ラフを避け手前から攻め、危なげなかった。ボギーは80センチをポロッと外した一回だけ。2本のドライバーは“エース”より“2番手”のほうが15ヤード飛ぶが曲がりやすいのだという。だが後半、風が出てくるとその2番手を試すと弾道が低く横風にも影響を受けず満足そうに「大会ではこっちの方になりそうだ」といった。大会まで6週間、秋は日本ツアー中心、「それまでに結論をだせばいい」といった。
フェアウェイキープが最大ポイント。例年の日本オープンにいえることだが、今回は最大のテーマとなるだろう。なぜなら相模原のラフはことのほか、タフだった。長さ80ミリのセッティングだが、どうして100ミリはある。それが幅、25~30ヤードのフェアウェイの外側をびっしりと覆う。グリーン周りはまさに“ライオンのたてがみ”、くるぶしまですっぽりと埋まってしまうほどだ。
シーハン中心の大会。いやシーハンの考え方が基点となった日本オープンと見たい。パー5でもラフに入れたら取り返しのつかないミスとなる。相模原GC・東は本来パー5が6つのパー74。しかし、今回はその内、2つをパー4にし、パー72のセッティングとなる。距離はティーインググラウンドで調整するが、ラフの難しさは並大抵ではない。名物3番の657ヤード、パー5もすごいが、6つのパー5というコースのコンセプト、設計家のこだわりには何かが潜む。
その観点で占うと話題の石川遼はどうだろう。 |
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苦戦という2文字が浮かぶ。ドライバーショットの思い切りのよさと16歳の勢い、流れ、強運はある、秘めた可能性にかけてみたいが、長くタフなセッティングは、毎ホールがあんぐり口をあけた地獄の連続だ。プロトーナメントの洗礼を受けプレースタイルが少しずつ変わりつつある石川だが、今回ばかりは間に合わないように思える。
谷口徹、片山晋呉が優勝争いの中心とみる。ドライバーショットの名手である。パットの読み、フィーリングをつかんだ時の驚異的なフェアウェイキープ率の高さ、何より勝負勘というか、試合運びの中から自分を浮かび上がらせるタフさが際立っている。
谷口は今季、国内3連続優勝のかかったサンクロレラクラシック(8月・小樽CC)で敗れて悔しがった。「3連覇がかかっていなかったら楽勝だった。気持ちが入り過ぎショットが曲がってしまった」鬼のような顔だった。
片山は欧、米、アジアを股に駆け高まりを待つ。正確無比をめざし、片山流を追求する姿には好感が持てる、ひたむきさで谷口と同じ表情を感じさせてメジャー向きだ。
伊澤利光は集中力だろう。日本プロで見せた粘りをもう一回みたい。谷原秀人、宮本勝昌、外国勢はJ・M・シン(インド)、ドンファン(韓国)、B・ジョーンズ(豪州)との争いだろう。 |
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