宮里藍、上田桃子、そして宮里美香という米女子ツアーを転戦する3選手が、一堂に会して、日本女子オープンのタイトルに向けてスタートした。
そのひとり、宮里美香は、ずっと米女子ツアーで、パッティングに苦しんでいた。
「いいストロークができているのに、自分の読みが合っていないで入らないのか、合っていても入らないのか。とても混乱してしまって、最後はフラストレーションがたまって、イライラしている自分しか残っていなかった」
ちょうど全英女子オープンが終わった頃から、18ホールで30パットを切ったという記憶がないほど不調だった。スポーツ心理学の先生にも相談したという。最後は、自分自身の心の問題だ
|
|
と言われた。グリーンの微妙なアンジュレーション、転戦するコースのグリーンは、気候や芝の種類、育ち方が大きく違う。そんな環境の変化を日々繰り返しているうちに、自分の尺度、軸線を見失いがちなのが米女子ツアーである。宮里美香は、その戸惑いと悩みの渦の中で、どうしたらいいのか解らなかったという。「ですから、今日は久しぶりの20台なんですよ」と、嬉しいというよりは、安堵したという表情で語った。
1番ホールからのスタート。479ヤード、パー5で3打目を1メートルにつけて、幸先の良いバーディー。「グリーンも(コースの雰囲気も、環境が)なにもかも違うので、逆にストロークに集中できました」という。いいパッティングしているのに入らないという(先入観的)気持ちを切り替えるには絶好の環境の変化だったわけだ。
「結果的に7番ホールはボギーになりましたけれど、無理せずにしっかりとレイアップしようと決めて、迷うことなくそれができたことが大きいです」
9番ホールでもバーディーとして、続く10番ホール、101ヤードをPWで1メートルに寄せてバーディー。さらに13、16、17番ホールとバーディーを獲って6バーディー・1ボギーの5アンダーパーで1打差の2位タイで第1ラウンドを終えた。「特に14番ホールで第1打を左に引っかけ、110ヤードを9番アイアンを使ってのハイボールがうまく打て、残り25ヤードの3打目のアプローチを寄せてパーがとれたことが大きいですね」
宮里美香は、昨年までアマチュア選手として活躍していた。4年連続で女子ナショナルチームメンバー。2004年の日本女子アマで史上最年少優勝記録(14歳8ヶ月)を達成。2006年に世界ジュニアを制覇するなど活躍していた。そして、プロ転向して今季から米女子ツアーに挑戦している。けれども、中学3年生から挑戦し続けている日本女子オープンでローアマのタイトルを獲ったことがない。
この10月10日は、彼女の誕生日だ。20歳になる。
「(10代の)1が抜けるという実感が、まだ沸きません(笑い)。10代最後の日本女子オープンという意味でも、なんとか頑張りたいですね」と語った。 「それに……」と彼女は言う。 「父親が今月末に還暦になるんですよ(笑い)。そのお祝いとしても是非、と思っているのですけどね」
彼女は、幸先の良いスタートを切った。
|