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我孫子ゴルフ倶楽部で初めて開催される日本女子オープン。
どんな舞台設定が用意されているのか。 |
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「コース関係者のメンテナンスにより、フェアウェイの刈り高は10mm、ラフは80mm(刈止めの値)、セミラフは幅1.8m、刈り高は28mmに設定されました。
また、グリーンはコンパクション12、スティンプメーターは10フィートを目標値としての設定になります。 |
またコースは、基本的に6,559ヤードで行います」 |
溝口まち子・大会競技委員長 |
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このコースセッティングが意味するものは…。
欧州シニアツアーの賞金王にもなり、現在は同倶楽部所属プロでもある海老原清治が、明かしてくれた。 |
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「フェアウェイは夏前から普段よりも短く刈り込んできたので、地面も硬くなっています。そのフェアウェイは、それほど狭くはなく、見た目には緊張させられることもないはずです。
でも、そこに第一のワナがあります。
硬いフェアウェイはボールが転がって距離は出ますが、果たして、止めたいところにしっかり止まるかどうか。ラフに転がり込んでしまう危険性があります。
そして、もうひとつ。
フェアウェイからのアイアンショットでは、ソールが跳ねやすく、正しいスピンをかけにくいという状況も生まれます。
このコースに慣れ親しんだ私でも、きちんとインパクトしないと、イメージした弾道では飛んでいってくれない。 |
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ラフは80mmで刈止めしています。意地悪なほど伸ばしてはいません。
でも、それが、第二のワナになっています。我孫子のグリーン、ガードバンカーとの組み合わせで考えると、十分な長さなのです。 |
なんとか打てそうに見えても、ボールはどうしてもドロップ気味に飛んでいきますから、ショートしてバンカーにつかまったり、グリーンに直接落としても、転がり落ちていってしまったり…。グリーン面は、かなり固めてあるので、ラフからのショットでグリーン上にボールを止めるのは至難の業です。フェアウェイに冷静にレイアップして、次のショットに賭けるのか、リスクを承知でグリーンを狙うのか、敢えてバンカーに打ち込んで、そこからのショットでパーセーブを図るのか。
いくつかの選択肢があるとは思いますが、いずれにしてもラフに入ったら簡単にパーをとることはできないと思います」 |
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パー5ホールは、比較的やさしい。といっても、必ずしも飛ばし屋有利とはいえない。パワーでねじ伏せようとすれば、コースのワナにはまる。「攻める」「守る」「避ける」-。しっかりした戦略と戦術で臨まないと、バーディーには結びつかない。パー5ホールでスコアを稼ぎ、パー3、パー4ホールをしのぐ。我孫子でのスコアメイクの基本だ。 |
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その意味でも、日本女子オープン(通常のアウト、インを逆にして使用)では、15番からの4ホールで何かが起きそうだ。
それが悲劇なのか、歓喜のドラマになるのか…。
二つのパー5(15、17番)を挟んで208ヤードと距離の長いパー3、そしてグリーンの前後左右をバンカーで囲まれたトリッキーな18番パー4ホール。終盤4ホールでのスコアメイクの仕上げぶり如何で、大きな差が生まれる。 |
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賞金女王レースの主役のひとりでもある横峯さくら |
ドローボールヒッターで07年大会のチャンピオンの諸見里しのぶ |
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さて、試合の流れだ。我孫子流ゴルフの背景を考えれば、フェードボールヒッターでスピンコントロールの巧みなテクニシャンが試合の流れを作っていきそうに思える。 |
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フェードボールヒッターといえば、真っ先に横峯さくらの名前が浮かぶ。
賞金女王レースの主役のひとりでもある。その横峯と激しく競り合っているのが諸見里しのぶ。
こちらはドローボールヒッターで07年大会のチャンピオンでもある。
賞金総額1億4,000万円、優勝賞金2,800万円のビッグプライズは、賞金女王レースに直結する。フェードボールヒッターが有利なのか、ドローボールヒッターがコースのワナを跳ね返すのか。
両者の対決は、二重の意味で興味深い。 |
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フェードボールヒッターでは、もうひとり忘れてはならない選手がいる。福嶋晃子である。
しかも、福嶋にバンカーショットを教えたのは、あの林由郎だ。我孫子流直伝である。
深く、高いアゴがせり出しているアリソンバンカーをいかに攻略するか。今大会の大きなカギを握る重大要素になる。独特の硬めの砂は、インパクトが緩むとソールを跳ね返してしまう。
深さ、高さ、そして砂質…それらが、我孫子流バンカーショットを誕生させ、育てさせてきた。
選手たちは、どんなショットを見せてくれるのか。福嶋の技とともに注目したい。 |
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フェードボールヒッターの福嶋晃子 |
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エビアンマスターズでUSLPGAツアー初優勝を果たした宮里藍はじめ、カナディアン女子オープンで最終日に大爆発し宮里藍とともに2位に食い込んだ上田桃子、ルーキーで賞金シードを決定的にしている宮里美香のUSA組みもそろって出場してくる。ドローボールヒッターである。宮里藍の場合は、ドローボールヒッターだった、というべきだろう。
USLPGAツアーでの戦いの中で「フェードボールも使えるようにならなければ、優勝には手が届かない」と、弾道の打ち分けをマスターした。それが同ツアー4年目にしての初優勝をもたらすひとつの要因になった。
ラフからのショット、バンカーショット、ホールマネージメント、集中と解放…4年間の戦いの蓄積が、宮里藍のゴルフを成長させた。
我孫子ゴルフ倶楽部こそ、その成長の証を示すステージにふさわしい。
05年大会(戸塚カントリー倶楽部)以来の2度目の優勝。最も近い位置にいるのは宮里藍といっていい。 |
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その宮里藍は、日本女子オープンへの思いをこう語っている。 |
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「私には、アマチュアのジュニア時代からJGA(日本ゴルフ協会)主催競技によって成長させていただいたという思いがあります。日本ジュニア選手権競技、日本女子アマチュアゴルフ選手権競技、そしてプロ転向後には日本女子オープンゴルフ選手権競技。振り返ってみれば、そこに成長の証が刻まれています。日本女子オープンは、ナショナルチャンピオンを決める大会でもあります。そこで優勝するということは、日本を代表する選手になるという意味づけもあります。そして、そのことを常に意識しながら世界で戦っていくときのモチベーションにもつながります。
ですから、私の中でも、最も優勝を意識して臨む試合であり、今の自分のすべてをぶつけて、自分との戦い、コースとの戦いに全力を出し尽くしたい。やっぱり特別な試合であるとの思いが強い競技です」 |
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今大会には、日本からのUSLPGAツアー遠征組ばかりでなく、今年の全米女子オープン・チャンピオンであるチ・ウンヒも出場する。
宮里藍が最高目標に掲げる全米女子オープンのタイトルを先にさらっていった同選手が、我孫子ゴルフ倶楽部でどんな技を披露してくれるのか。
今年の日本女子オープンは「日本女子ツアー VS USLPGAツアー」という見方もできる。さらに全美貞やディフェンディングチャンピオンの李知姫はじめ日本女子ツアーで活躍する韓国勢とUSLPGAツアーを主戦場にするチ・ウンヒとの我孫子を舞台にした対決という一面もある。 |
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USLPGA組を迎え撃つ格好になる日本女子ツアー勢では、諸見里、横峯はじめ、屈指のショットメーカーであり総合力も大きく進化した有村智恵、2年連続賞金女王の座を目指して今大会での急浮上を目論む古閑美保、ハイボールヒッターで飛ばし屋の三塚優子、服部真夕、04年大会以来の優勝を狙う不動裕理らが注目される。 |
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また、日本女子アマチュアゴルフ選手権競技2位の東香里、同競技メダリストのひとりで中学3年生の鈴木愛、日本女子学生選手権優勝の綾田紘子、日本ジュニア女子15~17歳の部優勝の森美穂らトップアマの戦いも楽しみだ。 |
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