第1ラウンドを1オーバーパーでプレーを終えた宮里藍。
この日は「自分のフィーリングと現実に飛び出すボールの結果が、わずかですけどズレていました」と言った。そのズレは「要所要所で出てしまい。それがスコアが伸びなかった原因のひとつ」だと言った。3番ホール、527ヤード、パー5でバーディーを獲った宮里だが、5、6番ホールでボギーとした。5番はショットの微妙なズレ。6番は、パッティングのラインの読みの微妙なズレ。それでも7番ホールをバーディーとしてパープレーでまとめた。
「前半、グリーンを外したり、バンカーに入れたりしましたけど、それでも、我慢できていたんです」それなりに、巧みにスコアをま
とめ上げる技量が、いまの宮里藍にある。
4日間72ホールの大会……。
それは女子選手にとっては、メジャートーナメントなど限られた選手権で戦うホール数である。54ホールと72ホールの違いは、単純に18ホール増えるだけではない。ゴルフトーナメントは、試合が継続している途中に、夜を迎えて過ごすというインターバルがある。3日間の場合は、2晩。そして4日間なら3晩のインターバルがある。従って、攻め方も、心の準備と整え方も、微妙に違ってくる。特に、ナショナルオープンというメジャー大会の場合は、ゲーム中にすり減らす神経や体力、インターバル中に整えなければいけない心の構え方も違ってくる。
けれども、いまの宮里の豊富な技量と経験があれば、それは可能だ。
かみ合わないズレ……それは54ホールの戦いなら、焦りにつながりかねない。だが、72ホールならば、微調整をしながら、最終日に最高のコンディションで迎えることもできる。「私は、私なりに……」と、記者会見の最後に言ったコメントの意味合いが、そこにあると思う。
それは、上田桃子も同じだろう。
「調子がいい中で行けたんですけど……」
アンラッキーのホールが、ふたつあったのだという。
「2つのボギーは、全く打てない所に落ちたりしたので、しょうがないですね。ダブルボギーも考えられたし……」メジャー大会では、ボギーはいい。でも、ダブルボギーは叩いてはいけない、という暗黙の歯止めを選手たちは持ち合わせている。その歯止めができたのが、第1ラウンドの上田桃子だ。18ホールを振り返って「途中、72が最高の状態だと思っていたにも関わらず、アンダーパー(71)で回れたのでまずますです」
この上田も、72ホールの戦いというスパンでゲームを組み立てることが自然にできている。「4日間通して、毎日アンダーパーで回りたいですね」
宮里藍と上田桃子……。
ふたりのプレーを見ていて、自分たちのゲームやゴルフを俯瞰して見えているのだと思った。それが成長度合いを加速させているのだろう。
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