昨年の李知姫に続いて、今年は宋ボベ。韓国選手が日本女子オープンを連覇した。首位の宮里美香に4打差の2位タイで、最終組の一組前でスタートしていった宋は、自分のプレーにひたすら集中していた。
「ショットが、凄くよくて、打てばバーディーチャンスになるという流れでした。だから、いけるところまでいこうって思いました」
5ホールを終えたところで早々と10アンダーパー。この時点で、最終組で3連続ボギーのスタートとなった宮里美香を逆転し、単独トップに立っていた。スコアボードの一番上に自分の名前があることを知って「そこから、ちょっと意識するようになった」という宋。後半では、13番のバーディーだけで、今度
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は、さらに前をゆく横峯さくらに追い上げられることになった。通算11アンダーパー。アマチュア時代も、プロ入り後も経験したことがないというプレーオフとなった。
1ホール目の18番ティーインググラウンドに競技委員の運転するカートで向かいながら、宋は、高校3年生のアマチュアで連覇を達成したときの韓国女子オープンのときの感動を蘇らせていた。
「あのときも、本当に大勢のギャラリーがいて、その熱気で自分の気持ちが凄く高揚して優勝したいと思うようになっていきました」
ティーインググラウンド。くじ引きで、先に打つことになった。フェアウェイのセンターへ。続く横峯も、それよりも先のフェアウェイに。
第2打。宋は「ピンしか見ていなかった」と、手前3.5メートルに。横峯は、ピン左横に同じぐらいの距離。競技委員が目測で横峯が先に打つことを指示した。このバーディーパットが外れた後、宋は「カップ1個分スライスする」というラインを真ん中から決めて、初優勝をもぎとった。レギュラーラウンドの72ホール目と同じライン(プレーオフよりも遠かったが…)だったことで、「迷うことなくストロークできました」という。
小学3年生で始めたゴルフ。中学生時代は韓国ジュニア界で注目され、高校2、3年生でアマチュアながら韓国女子オープンを連覇、国際競技では、同年齢の宮里藍、横峯さくららの日本選手としのぎを削っていた。
「あのころから、さくらとは仲がよくて、その後プロになって日本でプレーするようになってからは、ときどき食事を一緒にしたりしています」
仲良しとのプレーオフは、やりにくくなかったのだろうか。
「私は、試合になると相手は気にせず、自分のプレーに集中するタイプなので、まったく気になりませんでした」
今シーズンは、5月に首を痛めて出場試合が少なく、本選手権も、試合前には優勝など考えてもいなかったという。「もちろん、韓国女子オープンに勝っているので、日本に来てからは、いつの日か日本女子オープンも…というつもりはありました。でも、それが、今大会であったなんて、本当に信じられません。夢みたいです」
今後は、どんな青写真を描いているのか。日本女子ツアーから米女子ツアー界へと、活躍の場を広げていくのか。宋は「いえ、私は日本が好きで、自分に合っていると思うので、米女子ツアーは考えていません」
日本の女子ツアー、選手層がますます厚くなる。
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