高橋にとっては、これが50歳台で最後の日本シニアオープン。来年8月には還暦を迎える。5アンダーパーという絶好のスタートに「これが、最後のビッグチャンスになるかもしれませんね」と、口にした。「こういうタフな試合は、年齢を重ねるほど勝つのが難しくなりますから」というのが、その理由であった。
1番(パー5)でグリーン右サイドのバンカーからの第3打が3メートルに寄った。大きくスライスする難しいラインだった。これが、真ん中から決まってのバーディでスタートした。いきなり、難しいラインが決まると、その後のパッティングにも自信を持って臨むことができる。3メートル、5メートル、4メートル…。バーディチャンスを逃すことなくスコアを伸ばしていった。
ショットも冴えわたっていた。「ここは、フェアウェイをはずしてラフに打ち込むと、スコアメイクが苦しくなるから」と、ドライバーでのコントロールに神経を張り巡らせた。ラフに入れた4ホールは、グリーン手前からの基本通りの戦略でパーに切り抜けていった。そして、締めくくりは200ヤードの17番(パー3)。3番アイアンでのショットは、ピンそば30センチにぴたり。これを沈めて6個目のバーディを奪った。ボギーにしたのは、第2打が「外してはいけない左サイド」にいってしまった8番(パー4)だけだった。
ホールアウト後の高橋は、気を引き締め直していた。
「今日は、ほぼ完ぺきな内容でしたが、こんなゴルフが4日間続くわけありません。もっともっと苦しめられるはずです」
練習日の経験が、言わせたセリフだった。
「8時ちょっと過ぎにスタートしたのですが、気温が上がるまでは、1クラブ分以上飛距離がでなかった。グリーンも速さが変化していました。今日は、遅いスタートだったので初めから暖かく、そうした難しさを感じなくてすみました。第2日は、早いスタート(8時09分・10番ホール)なので、そのあたりも注意しながらラウンドしなければならないと思います。今日のゴルフは忘れて、1からのつもりでやります。貯金を吐き出さないように気をつけないといけませんよね」
日本シニアオープンでは2000年、03、04年と3勝している。5年ぶり4度目の優勝を目指しての戦いに慎重さを崩そうとしない。
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