【もう歩けないかも…中嶋常幸は必死のパープレー】
ディフェンディングチャンピオンの中嶋は、スタート前から不安を抱えていた。左ヒジ周辺にはテーピング。練習では、腰を押さえたり、伸ばしたりしながらのボール打ち。
「目標スコア? それよりも、完走できるかどうかが問題だよ」
腰、背中、左ヒジをかばいながらのスウィングで十分に振り切ることができない。ティーショットは、ほとんどラフに打ち込んでいた。インからのスタートで18番では3番ウッドのティーショットを大きくダフリ、テンプラボールとなって150ヤードぐらいしか飛ばなかった。
そんな状態でもパープレーにまとめたのは、試合が日本シニアオープンというメジャー競技であることと、ラフからの処理、グリーン周辺からの寄せ、そして、パッティングの巧みさがあればこそだった。
「ショットはメチャクチャだった。歩くのもきつかった。足が前に出てくれないんだもの。日本シニアオープンじゃなければ、途中で棄権したかったぐらいきつかった。2日目以降? ラウンドできるかどうかが大問題。どうやら、現役生活の危機だね。今大会が中嶋常幸のプレーを見せられる最後の機会…そう言いたいぐらいの状態だと思ってよ」
中嶋の2度目の大会連覇に、黄信号がともってしまった。
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