「ティーショットが、ほとんどラフにいってしまって辛いラウンドだった」
これが、室田のラウンド後の最初のコメントだった。それでいて、第1ラウンドの70に続いて第2ラウンドも69とアンダーパーをマークして通算5アンダーパーで単独トップに立った。
「これだけ内容と結果にずれがある日も珍しい。ひとつ違っていたら、大きくスコアを崩していたかもしれない。そういう不安定なゴルフだったからね」
この日の3アンダーパーは、何といっても3度のチップインのおかげだ。1番パー5では、ピンまで40ヤードのアプローチショットがカップに転がり込んだ。イーグルだった。4番パー4では、グリーン右手前エッジからアプローチウェッジでチップイン・バーディーを奪う。そして3度目のチップインは、大ピンチを救うものだった。
6番パー3でのことだった。ティーショットが右の木を直撃して50ヤードも手間に跳ねかえりバンカーに。そこからの第2打は大きくショートしてグリーンに届かなかった。3打目、サンドウェッジを使ったアプローチショットはピンまで25ヤード。これがカップに飛び込んでのパーセーブとなった。
「寄せの技が冴えた? いや、ほとんどツキだけのゴルフだったね。だから、うまくスコアをまとめたとか、伸ばしたという実感がない。もちろん、自信にもつながらないから、明日はどうなるかわからないよ」
残る2日間でカギを握るポイントはドライバーショットでフェアウェイを確実にとらえていくことか? そう水を向けられても、ひと言で即答した。
「無理!」
ちょっと間をおいて、その理由を付け加える。
「今は、狙い打てるほどの状態じゃないもの。ラフに入ることを覚悟してプレーしていかないと、辛くなるばかりでしょう。救いは、ラフがそれほど長く伸ばされていないこと。僕のゴルフの内容では、辛くはあるけど、焦らず、じっくり、コツコツやっていくしかない。そうやっていれば、こういうコースではあまり差をつけられないでいけると思う。あとは、ツキが去ってしまわないように祈るだけかな…。うん、そんな心境だね。とにかく、自分にできることを、その範囲内でやり続けるしかないよ」
最後まで景気のよい話は聞けなかった。3年連続2位からの脱却。それもまだ口にする段階ではないようだ。
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