第3ラウンドのスタート前に、アクシデントがあった。同じ組でラウンドするはずだった林陳漢が腹痛で棄権を申し出てきたのだ。急遽ベテランのトップアマチュアで琵琶湖カントリー倶楽部の元倶楽部チャンピオンでもある太田浩之がプレイングマーカーになり、スタートとなった。
その前半のゴルフ。渡辺のティショットは冴えわたっていたのに、結果はピンチの連続だった。あまりにも絶好のポジションからセカンドショットを打てたため、攻める気持ちが強くなりすぎて、そこから難しいエリアにこぼすシーンが続いたのだった。必死に寄せては、パーパットを沈める展開を強いられた。
最初のバーディは12番パー4だった。126ヤードを9番アイアンでコントロールして打った第2打がピン右手前4メートルに乗った。軽いフックライン。これが決まって「流れが変わったのを感じた」と渡辺は振り返った。ここからは、やることなすことうまくいった。「イメージどおりもあれば、ミスしたのに奥のカラーからカップインなどということもあって…」なんと5連続バーディ。あっという間にダンゴ状態だったトップグループから抜け出していった。最終18番パー4も1.5メートルにつけるバーディで締めくくった。
「今日は、空回りし続けた前半の自分と、何をやってもうまくいった後半の自分という二人の自分がコースにいた。そんな感じですね。後半の自分を象徴していたのが最終18番ホールでしょう。本当は、安全にピンの左の広いエリアを狙ったのに、ちょっと引っ掛けて左に飛び出してしまった。グリーンを転がり落ちてしまうのではないかと冷や冷やものでした。それが、ピン横1.5メートルに止まってくれてのバーディですから、自分としてはラッキー!ですよね」
これで3日間通算9アンダーパー。2位に3打差をつけて最終ラウンドを迎えることになった。
さて、その最終ラウンドは、どんなプレーを心がけようとしているのかー。
「トップに立てたこと。2位に3打差をつけたこと。それは嬉しいことではあるし、有利になったとも思いますが、このまますんなりいくとは思えない。僕は、トーナメントの前半というのを最終ラウンドの残り9ホールを迎えるまでと考えています。最後の9ホールが後半です。後半をどんなポジションで迎えられるか。優勝を狙える、あるいは優勝争いに加われるポジションにいたい。そして、そこからが本当の勝負だと思う」
最終ラウンドの優勝争いも熾烈なものになるだろうと覚悟している。「日本シニアオープンという憧れのタイトル。そして、高橋勝成、室田淳、中嶋常幸、尾崎健夫といった上位陣は、僕が目標にしてきた選手ばかり。トーナメントリーダーというより、チャレンジャーという気持ちで最終ラウンドを戦っていきたい」
明日、渡辺は最終組で大会4勝目を狙う高橋勝成とのプレーとなる。
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