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【逆転優勝を狙う上位陣(有村智恵、飯島茜、藤田幸希)】 |
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第2日
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競技報告:三田村昌鳳 写真:G.Kobayashi /Y. Watanabe |
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知らぬ間に連帯感が湧くということが、トーナメントでも有りうるのだろうか。同伴競技者が、ティーショットをフェアウェイに留めると「自分のことのように嬉しくなる」と有村智恵が言った。
もちろん勝負の世界。他の選手よりも1打でもスコアを良くしたいと思う競争心が消えたわけではない。けれども、名古屋ゴルフ倶楽部という怪物と格闘していると、その格闘している選手同士が、頑張ろうと感じ、ナイスプレーに思わず反応してしまうのだ。そうやって脳内に、嬉しさを共有することで、キレそうになる自分の精神の繊細な糸をつなぎとめている。
いちばん心が折れそうになったのは、どんな場面ですか? という記者の質問に「すご
く折れたというのはないけれど、ナイスショットしてもラフに入ったり、フェアウェイに残ったボールを打ってもグリーンに乗らなかったりという悪循環が後半続いていたときが、いちばん辛かったですね」と語った。有村は、2番ホール、パー5でバーディをとり、4、5番と連続ボギーの1オーバーパーで折り返した。問題の後半は、11、12、14番とボギー。さらに追い打ちをかけるように16番ではダブルボギーとし、36・40の76。通算7オーバーパーの20位タイで後半のラウンドに向かうことになった。「こんなにゴルフって体力的に消耗するスポーツなのかと思うくらい疲れました」精神的にも肉体的にも疲労困憊だ。「しっかりと休むに限りますね。ともかく体力を蓄えて明日以降、気持ちの良いゴルフをしたいです」
その有村の同伴競技者のひとりが飯島茜だった。2003年の日本女子オープンでは、アマチュア選手として総合で10位タイとなり脚光を浴びた。その後プロ転向して、すでに7勝(ステップアップ大会を含む)している。2008年の日本女子オープンでは、優勝争いに加わりながら脱落した苦い経験がある。「あの時は、マネージメントもショットもバラバラで落ち着きがなかったんです。成長したところを見てもらいたい。残り2日間あるので、欲をかかないで丁寧にやりたいと思います」
有村、飯島と、そして藤田幸希が同伴競技者の3人だった。
有村が、通算7オーバーパーの20位タイ。飯島が、通算4オーバーパーで6位タイ。そして藤田が5オーバーパーで8位タイと3人ともに上位に位置している。藤田は、一昨年の日本女子オープンで優勝争いをしていたが、残念ながら最終ラウンドにスコアを伸ばせずに10位タイに甘んじた。その経験が昨年の日本女子プロゴルフ選手権優勝へと繋がったのだと思う。彼女も、この日本女子オープンのタイトルを諦めきれない選手の一人である。
「ここから耐えていけば、いい戦いができると思います。予想通りの展開だと思っていますので……あとはボギーは仕方ないけど、ダブルボギーを叩かないことですね」
3人が、見えない連帯感をもって18ホール戦って、その忍耐を強いられ苦渋なプレーを続けている中で、最後の最後で、飯島が爽やかなスーパーショットで締めくくった。
18番ホールの第3打……右バンカーからの約30ヤードのショットを直接カップインさせたのである。「私もみんなも、一生懸命やっていたので、ご褒美ですかね」
残り2日間。きっと自分のできうる能力と精神力を絶やさなかった選手に、なにかのご褒美があることだろう。
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