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【諦めない強い心が単独首位につながった馬場ゆかり】 |
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第3日
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競技報告:三田村昌鳳 写真:G.Kobayashi /Y. Watanabe |
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「予測不能」……。朝、コースにやってきた馬場ゆかりは、この日の風を感じると「今日は、いくつ打っても仕方ないなぁ」と諦めの境地だった。そしてスタートしてみて、グリーン上にあがると、予想以上に足の裏から感じるグリーンの硬さに驚いた。「予測不能」と思ったのは、この瞬間だった。
馬場は、それを未知の領域だという。日本女子オープンというメジャーでは、コースが難しくセッティングしてある。それは予想も予測もできる。でもそのイメージの枠を超えていたのが、今日の風とグリーンの硬さだった。ホールアウトして、インタビュールームにやってくる選手は、バーディ、ボギーホールなど、使用クラブ、距離、使う番手、グリーン
のラインなど、ホールバイホールの説明をするのが常である。
いつもならスラスラと自分のプレーを振り返ることができる。ところがこの日の彼女は「うーん。ちょっとまって下さい……覚えていないなぁ」と考えあぐむ。我慢して、キレそうになる自分の精神を抑え、騙し、苦しんで、1打1打格闘してきた結果、そこから解放されたときに呆然としてしまう自分がいたのだろう。それほど過酷なプレーだった。
けれども、予測不能といいながら、馬場は「今日は、75でパープレーというイメージでプレーしていました」と、どこかで自分を支えるボーダーラインを決めていた。
後半のラウンド進出の62選手の平均スコアが、パー70の設定で78.677だから、馬場の予想した5オーバーパー75は、3アンダーパーの価値があるということになる。「1番ホールで、バーディがとれたということが、いいお土産だったんですよ。お、お、おおって感じでした(笑)」と馬場は、語った。
この日のバーディは、イーグル以上の価値があったのかも知れない。つまりスタートしてすぐのバーディで、心のゆとりが生まれたことは確かだ。
「ボギーは当たり前。人のプレーやスコアを考える余裕もなかったですね。ともかく、結果(そのホールのスコア)はどうであれ、いいショットが打てれば、自分ではOKという気持ちを捨てないでいました」 2位の李知姫を2ストローク離して首位に立った。
「まさかのまさかですよ(笑)」2008年ライフカードレディスで優勝して以来、勝ち星がない。
「そろそろ勝たないとね」とファンに言われるたびに、最近ではつい「解ってるわよ!」と思うようになっていた。けれども先週、ミヤギテレビ杯で、応援してくれたギャラリーから「そろそろ勝ってくださいね」と言われたときに、改めて「ファンの人たちのありがたさが心に沁みた」と語った。
確か、ライフカードでの優勝の時は、合間に観た映画「ロッキー・ザ・ファイナル」。主人公のひたむきに努力する姿、諦めることを知らない粘りに刺激されての優勝だったと記憶している。
今回も、彼女の心の中にその諦めない姿勢が宿っている気がする。
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