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【単独首位のベーシックは、「難しいセッティングに燃える」】 |
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第2日
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競技報告:三田村昌鳳 写真:G.Kobayashi /Y. Watanabe |
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不思議な、と言ったら失礼かもしれないけど、大方のゴルフファンが予想した展開とは、別の展開が前半2日間に繰り広げられた。
ふと浮かんだのは、青木功の言葉だ。
「勝ちたい勝ちたい。どうしても欲しいタイトルって、恋焦がれると逃げられてしまう。日本オープンの難しさだよなぁ」青木功は、日本オープン挑戦14年目に優勝した。
そういう特別な意識を自分では持つのはよそうと思っても、本能的に湧いてしまう。かつて倉本昌弘が「メジャーの怖さというか、痛さを知っていると、どうしても丁寧に丁寧に攻めてしまう。特に前半2日間は、なおさら。それは、突っ走って大きな穴に落ちたら痛い目に遭うって、嫌というほど知っ
ているからなんですよ」と語ったことがある。メジャーだと意識すればするほど、窮屈なゴルフが待っているというわけだ。
メジャータイトルの見えない敵は、そんな部分に潜んでいる。
それがこの2日間の順位に映しだされているのかも知れない。
2日間を終えて、通算5アンダーパーで首位に立ったのは、オーストラリアのネベン・ベーシックだった。ネベン・ベーシックという選手の名前を印象づけたのは、今年の小野ゴルフ倶楽部で開催された関西オープンだった。1967年に杉本英世がマークした67というコースレコードを軽々と抜く61という驚異的なスコアを出して、一躍日本のゴルフファンにベーシックという名前を刻み込んだ。前半2日間で13アンダーパーと独走態勢に入ったものの3日目に77と叩いて結局3位タイに留まった。
彼は、オーストラリアのシドニー出身。実家の裏にレーンコーブCCというゴルフ場があって、ゴルフは身近な「遊び」だった。5歳でゴルフを始め16歳のときに2アンダーパーで回った。ゴルフ場のショップの手伝いをしながら少年時代を過ごし、シドニー大学では経済学を専攻した。
「昨日(第1ラウンド)と似た感じで、ただひたすら1打ずつこなしていった」というベーシックのコメントが、まさにメジャーだという特別意識を捨て去った心境だったのだろう。
「日本は全体的にコースの状態がよく、グリーンコンディションが整っていてプレーしやすい。さらにオーストラリアと時差もほとんどないので、行き来しやすい」
この日、10番からスタートして、15、16番とバーディ。さらに5番でボギーとしたものの7、9番とバーディとして3アンダーパーのこの日のベストスコアタイだった。世界の4大メジャーでいちばん好きなのは全米オープンだと言う。その理由を訊くと「だって最もタフなコースで戦うんだもの」と言っている。
彼は、難しいコースになると燃えるタイプなのだろう。「明日は雨? まあ、自分自身に、(雨の中での)いい経験を積むんだ、と割り切るしかないかなぁ」とあっさりと言った。
メジャーがほんとうに怖いと思うのは、実は、後半の2日間である。
その時、誰が、どういう形で上位に名前を連ねてくるか楽しみである。
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