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【低弾道ショットで2打差3位につけたべ・サンムン】 |
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第3日
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競技報告:三田村昌鳳 写真:G.Kobayashi /Y. Watanabe |
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雨……。大粒の雨がやみはじめると今度は、強風。湿った重たい風がコースを吹き荒れる。
スタート前の練習場では、その風に対して選手たちの対策が見て取れた。選手の持ち味や技量の違いによって、どう対処するかは、さまざまだ。アゲインスト風には低い球、フォロー風に対して高い球。曲げる球などを打ち始める。それは試合が始まってからのラウンドをイメージしながらの練習風景である。
裵相文(べ・サンムン)は、ひたすら地を這うようなボールを打っていた。ある程度の高さのまま、その高さが変わらずに直進するボール。それがいつまで経っても勢いが落ちずに真っ直ぐ伸びていく。見た目では、まるで地上1メートルを這うよう
なボールだった。普段は、高い弾道を打つ彼の球筋。そんな彼が、こんな弾道を持っていたとは思えないほどだった。ドライバーの弾道だろうか?と疑うショットだった。それを3番ウッド、ユーティリティと同じような弾道で打っていく。
「朝から風がすごかったからね。ゴルフ場にきた、ちょっと無理かな、と思ったけど、今日は運が良かった」
逆にいえば、ボールをインテンショナルに曲げて風と喧嘩させたり、風に乗せたりという不確実な技を使わず、ごくシンプルに、フェアウェイを囲む左右の林の下を通過していく低い弾道でいい。それがいちばん確実に風に影響されにくいと考えたのだろう。
だから「風よりも、フェアウェイキープが大事。それにアゲインストの風でも問題なかった」というコメントに表現されたのだ。風を意識し過ぎると、かえって難しくなる。読みやイメージ、技量など、どれを選んでどれを捨てて、どう決断するか、それを迷わずに打てるか否かと、考えることが多すぎる。それでなくても、このコースは、考えることがたくさんある。だからこそ、排除できるものは徹底的に排除するという球筋を決め込んだのだろう。
出だしの2番でバーディ。続く3番でボギーとしたものの5番、9番のバーディをとってアウトで2アンダーパー。さらに12番でバーディ。16番でボギーも、すぐさま17番でバーディをとりかえす。崩れるという言葉が、彼のゴルフにはないようなゲームだった。「(今季すでに2勝して、これに勝てば)3回? 勝てれば嬉しいけれど、コースは易しくないからね。解らないよ。運もないと……。もちろん優勝するチャンスはあるし、自信もある。バーディよりもボギーを少なくすれば……優勝できる」
今季、賞金ランキングでトップを走る裵相文。トップの佐藤とは、4打差。メジャーでは、この差は、あってないも同然だ。
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