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【昨年の金庚泰に続いて今年は裵相文。韓国選手が連覇】 |
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第4日
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競技報告:塩原義雄 写真:G.Kobayashi / Y.Watanabe |
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プレーオフ1ホール目の18番パー4。カートに分乗した裵相文と久保谷健一がティーインググラウンドに到着し、がっちりと握手を交わした後、コイントスで打順を決めた。先に打つことになったのが久保谷で、いきなりこのところの不安の種になっていたドライバーショットのフックが出てしまった。左林に近い深いラフ。裵相文は、プレーオフが決まった段階で、ドライバーショットを確実にフェアウェイに打ち出すことを考えていた。その10数分前には、本戦の18番ティーショットを久保谷と同じように左ラフに曲げていたにも拘らずに…。どういうことなのか。種明かしをしてくれたのは、優勝が決まってからだった。
「72ホール目のときは
、ティーアップしたボールが落ちそうな気がして急いで打ってしまった。タイミングがずれてフックさせただけだった。だから、自分のタイミングで打てばフェアウェイヒットする自信があった。この大会、自分のドライバーショットは、ずっと好調だったから、それもあって…」
久保谷の第2打がグリーンを大きくショートした後の裵相文は「ピンの手前に乗せて上りのパットを残そう」と冷静に計算し、そのとおりに実践した。先にパットして50センチほどオーバーさせたものの、久保谷がパーパットをはずした後にウィニングパットを慎重に沈めて来日2年目にして日本オープン初優勝を果たした。今季日本ツアー3勝目。優勝賞金4000万円を加えて1億円を突破(1億2752万円余)、2位の石川遼に約5千万円の差をつけて賞金王の座を大きく引き寄せた。昨年は、金庚泰が日本オープン優勝から韓国選手初の賞金王になっている。その金と同じ道を突っ走りそうな勢いを感じる。
先週のキャノンオープンでは予選落ち。金曜日に韓国に一時帰国して病院に直行した。風邪だった。治療を受け、体調を整えると、ショット調整に取り組んで、日本オープンの週の月曜日に日本に戻ってきた。「体調も、ショットの調子も戻ったので、優勝を狙っていた。難しいコースだから、ボギーが出るのは仕方がない。でも、最小限に抑えて、それ以上のバーディをとる。そういうゴルフができればチャンスがあると思いました」
これもまた、計算通りに実践できた。最終ラウンド、キーになったホールを「3、8、14、18番だった」と言った。3、8番はいずれもバンカーからの難しい状況からのパーセーブだった。14番パー5(607ヤード)は、10、12番とボギーを叩き、1アンダーパーまで後退して迎えたホールだった。会心のドライバーショットでフェアウェイをとらえた後、ピンまで270ヤードの第2打を5番ウッドでこれまた会心のショット。みごと1.2メートルのイーグルチャンスを作り、これを楽々沈めて3アンダーパーの単独トップに躍り出た。続く15番パー3をボギーにして、久保谷とのプレーオフにもつれこんだのだが、粘りと爆発力を披露した3ホールのプレーぶりではあった。
さて、賞金王の座も引き寄せた裵相文だが、「そうあって欲しいとは思うけど、まだわからない」と慎重だった。「石川遼はじめ強い選手が多いから、この先どういう展開になるのか…。それと、自分は、シーズン最後の2試合(カシオワールド、日本シリーズ)には出ないから、抜かれるかもしれないし…」
裵相文は、この時期USPGAツアーのQT受験を決めている。突破して、2012年は同ツアーでの戦い、というのが青写真である。米ツアーを主戦場にすることになったら、そちらに専念するのであろうか。日本オープン優勝で日本ツアーでは5年間のシード権が与えられる。「USPGAツアーの日程があいたときには、日本の試合に出るつもり。でも、一番の目標はUSPGAツアーで優勝すること」
裵相文は、世界へのジャンプアップを狙っている。
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