最終ラウンドを迎えた小西健太(瀬戸内高校3年)と首位に立つ勝亦悠斗の差は6ストローク。「出だしから気合を入れても縮まるわけは無い…」スタート前に弱気になるのも無理は無い差だ。しかし、小西は諦めなかった。1番で125ヤードの2打目をピッチングウェッジで4メートルにつけてバーディを決めると、5番は88ヤードを2メートル。8番も6メートルを沈めた。この時点で首位とは4打差にまで迫っていたが、小西は9番でボギーを叩いてしまう。しかし、勝亦もスコアが安定せず苦しいプレーを続けていると、11番でボギーを叩き、いつの間にか両者の差は、1ストロークとなっていた。ここで、「スウィッチが入った」という小西は、12
番で1メートル、13番(パー5)、14番で4メートル、15番で1メートル、16番で7メートルを沈めて圧巻の5連続バーディで一気に勝亦を逆転して、首位に立つ。この5連続バーディ。実は、小西の計算ずくだったとも言える。第2ラウンド。12番ホールで残り120ヤードのセカンドショットをピッチングウェッジでピンの根元に当てた。そのときは、この球が手前に戻ってしまってボギーとなったが、「逆に、それだけぴったりの距離感で打てるんだから、ショットの調子は良いと。自信に変えようと」と考えたという。だから、今日のセカンドショットは出来るだけ125ヤードを残してピッチングウェッジで抑えて打つ「自分の得意なショット」に持ち込むコースマネジメントを徹底したのだ。現に5連続バーディのうち2打目にピッチングウェッジを手にしたのは4度。後半ではその全てが1メートルについた。最終18番ホールもバーディで締めくくった小西はこの日、9バーディ・1ボギーの64。コースレコードタイを記録して、自身2度目の日本ジュニアタイトルを手にした。「今年は、緊張もしないでプレーできました。2打目でバーディチャンスにつけて、それをしっかりと決められたことが自信になります」とそのプレー振りとは対照的にクールに話す小西。「得意の西コース」でしっかりと優勝という結果を残して、日本ジュニアの有終の美を飾った。
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