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【単独首位の平塚は「もちろん勝ちたい」】 |
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第3日
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競技報告:三田村昌鳳 写真:Gary Kobayashi & Y.Watanabe |
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平塚哲二は、明け方、夢でうなされてハッとベッドから起き上がった。
「ボギー、ボギー、ボギー、ボギーって叩いてる夢だったんですよ。もちろん初めての経験です。2度寝しましたけどね(笑)。そしたら、1番の出だしでボギーでしょう。あれ、正夢かなと、一瞬思っちゃいました」。
疲労困憊は、どの選手も同じだろう。その苛酷なコースセッティングと暴風で、選手たちは体力よりもメンタル疲労がピークに達している。「いちばん疲れるのが、頭です」と口々に言う。
肉体と精神の疲れのバランスが合わないと、それもストレスになり、寝付かれなかったり、悪夢を見のかも知れない。
その夢とは反対に平塚は、素晴らしいゴルフを
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していた。
1番でボギーのあとすぐに2番でバーディ。4番、バーディで5番ボギー。
「今日は、ちょっと風が気になったかな。でも、風は、条件がみんな一緒でしょう。それよりも、自分のゴルフでこのコースをどう攻めるかのプレッシャーのほうが、きついですよね」。
なるほど……である。7、9番をボギー。続く10番をバーディとし、13番ホール、439ヤード、パー4にやってきた。平塚の第1打は、左ラフ。残りが195ヤードあった。風は、やや右からのアゲンスト。ほぼ真っ直ぐのアゲンストに近いと彼は言った。
普段なら、クリーク(5番ウッド)を持つ。
でも、今回、平塚のバッグには、クリークを入れていない。何故なら、60度のサンドウエッジを追加して、本数を14本にしているからだ。
「さて、どうしよう……。ここは3番ウッドで、軽く打つしかないな」と平塚は、決断した。いや、それ以外の選択肢がなかった。
「やけくそですよ(笑)」と言うそのショットは、素晴らしい会心のものだった。
スウィングテンポも、タイミングも、すべてが完璧だった。そしてボールは、ホールから3メートルほどで止まった。
普通なら「やけくそ」と思って打つショットは、思い切り振り切るとか、力が入りすぎるとかという余分なものがスウィングに混在する。でも平塚は、逆に、力みも澱みもなく、まるでゆったりテンポのお手本のようなショットを放った。
「(笑)……」その秘訣までは、教えてくれなかったけれど、その3メートルを見事に沈めてバーディとした。
15、18番ホールと平塚は、ボギーを叩いたけれど、通算3オーバーパーで、2位に2打差の首位を守って第3ラウンドを終えた。
「あの(15、18番の)ボギーも、たまたまラフに入ったボールが、ディボット跡で沈んでいたり(15番)、テレビカメラの3脚の足で埋もれた跡だったり(18番)でしたから、別に、悔しいボギーではないんですよ。アンラッキーなだけですから」。
この平塚という選手から、懐かしい空気を感じる。それは、AONやそれ以前に活躍した野武士のような逞しさを感じる選手と同じ匂いなのかも知れない。
明日の最終ラウンド、平塚は、こう言った。
「もちろん勝ちたいですよ。でも、自分のゴルフがどこまでやり通せたか。ミスも運も、不運も含めてですけど、それができればいいと思います」
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