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【初優勝の小林は欧州ツアーでの辛酸を糧にメジャータイトル奪取】 |
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第5日
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競技報告:三田村昌鳳 写真:G.Kobayashi / Y.Watanabe |
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17番で小田孔明がボギーを叩き、小林との差が2ストロークになった。最終18番で小林は右のバンカー。残りがエッジまで226ヤード。ピンまで 240ヤード。そこで、小林は、迷った。刻むべきか、攻めるべきか…。実は、結論がでなかった。「でも…。なぜか3番アイアンを手にしていたんですよね」と小林は振り返る。「守って勝てたことがないんだから、4(狙い)でいこう」と決断した。
「実は、ややハーフトップだったんですよ…。でも、それも計算内でした。自分では、花道でいいと。グリーンに乗るところまではイメージしていま せんでした」ボールは、ハーフトップのお陰? で、ころころと転がってグリーンに乗った。
イ
ーグルチャンスのパッティングは、ホールまで11歩だったという。その距離をピン奥1.2メートルほどオーバーさせた。それを沈めて優勝が決まった。ガッツポーズは、無意識に出たという。
強い風雨のために、日曜日の第4ラウンドが、月曜日まで延びた。それでなくても、ゴルフトーナメントが難しいのは、4日間、4ラウンド、72 ホールのゲームの中で、3回夜を迎えるということだ。つまりはゲームの途中で私生活が入り、就寝することが、あらゆる面で悩ましい。食事、あるい は私生活での諸問題などがゲーム中に舞い込んでくる。しかも、考える(雑念)時間が、途方もなく多い。首位でスタートした小田孔明は「そんなの関 係ないよ」と言い切ったけれど、眠れない夜だったかも知れないし、長い長い時間だったかも知れない。
小林は「昨日、1日空いた時間を(新婚の)奥さんと2人で、ゴルフと関係ない
会話で時間が潰せたし、気を紛らわせたし、リラックスできました」と 言っていた。
小林の今季は、決して上出来の成績ではなかった。2週前のコカ・コーラ東海クラシックで7位タイが最高位。12戦して6戦だけ予選通過だった。実は、小林は 2週間、欧州ツアーに出場している。昨年のアジアパシフィック パナソニックオープンに優勝して、ジョイントの試合の出場権を得ていたからだ。 新婚旅行を兼ねての出場だったが、そこで「無惨な、悔しい思いをしたんですよ。1日、88のスコアを叩いたんです」その悔しさがバネになったの か、小林は欧州ツアーで辛酸を嘗めたことを、むしろプラス思考に変えたのだった。
「収穫は、悔しさと、もうひとつはクロスハンドグリップでパッティングをしたことです。その収穫がなかったら、ただの新婚旅行で終わっていまし た。向こうの選手は、かなりクロスハンドでやっていましたから、それを取り入れてみようと思ったんです。もちろんミスもありますが。その外したミスは、受け入れられるミスだったので、これでいいか、と。塚田(好宣)さんもやはりクロスハンドで、マークセンや加瀬(秀樹)さんからもアドバイ スをもらって、クロスハンドでクローズスタンスにしたら、よく入ってくれるようになりました」。
スタート間際の2番でバーディ。3、5番とボギー。そして8、9、10番と連続
バーディ。千葉・東京学館浦安高等学校の後輩にあたる小田孔明との熱戦が始まっ た。
「孔明も必死にやっていたし、もちろん他人のゴルフを見る余裕なんてなかった
んですが、引っ張られたように、自分も、自分のゴルフを必死にやとうと思っていました。気持ち、心のなかでは、最後まで諦めないぞ、という感じでずーっといました。それにしても、今日は、信じられないくらいショッ トが良かったです。ネックだったフェアウエイウッドも良くて、アイアンの距離感も凄く良かったです。うーん…アプローチしたかなぁ、と思い出せないぐらいです」。
小林は、いつも謙虚な選手である。その彼が、3日間連続の69とずっと60台の流れに乗った。それは、日に日に「気持ちが、上位に行きたいから、 どんどん勝ちたい、狙いたいという気持ちになってきたのも確かです」と吐露した。
優勝が決まった。そのトロフィを手にしての写真撮影でも嫌がることなく、何度も何度もカメラマンのリクエストに応えてポーズをとった。そして記者会見にやってきて「いやー、疲れました。そして、ホッとしました」と、ようやく勝負の鎧を脱いだ。
小林は、これで5年のシード権を獲得した。「嬉しいですね。心置きなく、アジア、欧州ツアーにいけます」と言った。そして、全英オープンの出場権も獲得した。
「え? ウソ! ほんと? それは知らなかった。嬉しいなぁ」と素直に大喜びをしていた。この優勝を新妻と分かち合えますね、という質問に「いや、やつは、この意味(重み)、わかっていませんよ、きっと(笑)」と語った。
ゴルフトーナメントが、4ラウンド、72ホールで完結するというなら、起・承・転・結の4ラウンド目で、こんな展開になると誰が予想したのだろう か。
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