コマツ・オープンでプラヤド・マークセンをプレーオフの末に下して優勝した金鍾徳の勢いは、いささかも衰えていない。胸骨骨折で2015年シーズンは3試合に出場しただけ。公傷制度適用でフル参戦した昨年は、後遺症で賞金ランキング24位と低迷した。
「ここがね、こんなふうに出っ張ってしまって、うまく体を捻れなかったの」とシャツの襟を広げて患部を見せてくれた。現在は、「ようやく、元の状態に戻って、出っ張りも消えたから、思い切って体をフルターンさせることができる。ドライバーショットの飛距離が、昨年よりも30ヤードも伸びたから、本当にゴルフが楽になった。コマツ・オープンのときもそうだったけど、バーディーが沢山
とれるから、楽しいしね」。
18ホールと9ホール。2日間の練習ラウンドでコースをしっかり頭に刻み込んだ。前夜、ホテルのベッドで18ホールのプレーをシミュレーションしたという。「頭の中でプレーすると、7、8ホールはバーディーになるんだよね」。
で、現実のラウンドは…。「うん、第1ラウンドは、いきなりとんでもないことが起こったけど、前夜の頭の中でのラウンドがあったから、慌てずにプレーできたね」
とんでもないできごと…というのは、スタートの10番(パー4)のグリーン上でのことだった。7メートルほどのバーディパットを「気持ちよくストロークしたら、下り傾斜が予想以上にきつくて5メートルもオーバーしてしまった。返しもはずして3パットのボギーを叩いてしまった」というのが、それである。13番(パー3)で取り返すと、15、16番と連続バーディ。後半も4バーディを奪って計7バーディを量産した。6番ホールの第2打で手にするアイアンの番手に迷い、左ラフに外してボギーにしたのがシミュレーションと違う結果であったが、ほぼ頭の中でラウンドした前夜のイメージどおりのプレーができた。
「飛距離も戻った今のゴルフならマークセンとまた勝負ができると思う。全部のクラブが上手く打てているし、自分でも楽しみ。韓国ではシニアプロ、シニアオープンの両タイトルを手に入れている。日本でもシニアプロには勝っている(2011年大会)から、次は、この日本シニアオープンのタイトルをつかみたい。日韓で両タイトルホルダーになれたら、最高にうれしいからね」。
金鍾徳は、コマツ・オープンに続いて打倒マークセンを期している。
|