10番ホールスタートの第2組は、プラヤド・マークセン、鈴木亨、川岸良兼のパーティー。第1ラウンドに9バーディ・ノーボギーの63と大会レコードで飛び出したマークセンは、この日もダッシュし続けた。そして、食らいついたのが鈴木であった。ともに10番から3連続バーディ。そろって、ピン近くにピタリ、ピタリとつけるファインショットの競演だった。
14番では、鈴木が8メートルはあろうかというバーディパットを沈めると、マークセンは2.5メートルを入れ返して詰め寄らせない。マークセンは、さらに続く15番(パー5)で第1ラウンドに続いての2オン狙いのショットを放った。この1打は右バンカーにつかまったが、ここ
から50センチに寄せて楽々と5つ目のバーディを奪う。このホール、パーに終わった鈴木は、続く16番パー4で1オン狙いのビッグショットを放った。ティーが前に出て、306ヤード設定となっていた。ボールはサブグリーンに。寄せは、ピタリと決まって、こちらも5つ目のバーディを奪った。
マークセンが17番(パー3)で2.5メートルを沈めれば、鈴木は18番で第2打を1メートルにつけ、食い下がる。ともに6バーディの30で後半にターンしていった。
両者の戦いは、昨年大会の最終ラウンド前半のプレーを彷彿とさせた。この時は、シニアルーキーだった両者がトップタイでスタートして、ともに4バーディと互いに一歩も譲らない好プレーを演じたものだった。
鈴木は、この日のホールアウト後に言っていた。「前半で数ホール進むうちに、昨年大会の最終ラウンドと同じモードになっている自分に気がついた。第1ラウンドを終えて7打差をつけられていたにもかかわらず、その差を度外視して“今日は負けられない”と、どんどんプレーに集中していく自分がいたんです」
後半にターンしての1番(パー5)。マークセンは2オン2パット。鈴木のバーディパットは4メートルほどだったが、強めにヒットしてカップ真ん中から決めた。食い下がる。5番で鈴木が8メートルを決めて第2ラウンドだけの戦いでは、一歩リードした。2番から6ホール連続パーと足踏み状態だったマークセンだったが、上がりの8、9番を連続バーディで締める。最終9番をボギーにして65のホールアウトとなった鈴木に対してマークセンは2日連続の9バーディ・ノーボギーの63。差は広がっていた。連日の63。2日間で18バーディ・ノーボギー。「1日で9バーディ・ノーボギーというのは、やったことがあるけど、2日連続というのは自分でも初めて」とマークセン。36ホールで通算18アンダーパーは、1995年大会(北浦)で青木功がマークした通算12アンダーパーを大幅に更新する大会レコードであった。
実は、プロアマ戦のパーティーでマークセンは優勝スコアを聞かれて、こう答えていた。「15アンダーパーなら優勝できると思う」。これは、自分のことではなかった。そのスコアなら優勝できると思うが、自身が目標とするスコアは「1日5アンダーでトータル20アンダーは出せる」であった。実際は5アンダーパーではなく、連続の9アンダーパーで、早くも目標スコアに近づいてしまった。
鈴木は、第2ラウンドのマークセンについて、こうも言っていた。「こっちは、必死に食らいついていったけど、彼は、僕のプレーなんか気にすることもなく、自分のプレーだけに集中していた。もう、周りは眼中にないという感じで、それこそ普通にプレーして9バーディだった。飛ばしたり、飛ばさなかったり…。ドライバーや3番ウッドのティーショットも自在にコントロールしていた。飛ばすときは、自分より40ヤードも先にいっていることがあった。参りました。今日の自分のゴルフ?彼が立ち止まっていてくれれば、面白い流れになっていたかもしれないけど、走り続けていたから、結果的には何事も起こらなかったよね」。
このまま大会が進めば記録づくめになりそうだ。気になるのは台風の情報なのだが、マークセンは「みんな同じ条件になるわけだし、プレーできる状態なら、雨でも風でも楽しめると思う。今の自分ならね」
連覇へ、自信は深まる一方である。
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