1番イーグル、2番バーディ。マークセン追撃に絶好のスタートを切った尾崎直道だったが、その後、腰に異変を感じたという。「なんか、ピリッときたんだよね。“まずいな…”と思ったんだけど、そのままプレーを続けているうちに痛みがきつくなってきて、後半に入ったら、カップに入ったボールを拾うのもつらくなってきてしまった。スウィングにならなくなってきたしね…」。
12番のボギー、14番のダブルボギーは、明らかに腰痛をかばうスウィングの乱れが招いた結果であった。15番からの3バーディは、「あのままズルズルと後退するわけにはいかない」という執念以外の何ものでもなかった。通算10アンダーパー。2位でのホールア
ウトに中継テレビ局からインタビューの要請があったが、尾崎は「申し訳ないけど、すぐにトレーナーのところに駆け込みたいので…」と断り、車に乗り込んだ。ウィンドーを開けての最後のコメントは、こうだった。「とにかくやれるだけのことをやってもらって、もう少しまともなスウィングができる状態に戻してもらいたい。どうなるかわからないけど、このままマークセンを突っ走らせたら、大会が面白くない状況になってしまう。少しは苦しめたいからね。それじゃあ、すみません」。
車は、静かに、そっと走り出した。
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