超高速で、しかも安全運転を続けてきたプラヤド・マークセンが、まさかのボギーを叩いた。2日間ボギー無しで18バーディを奪っていたマークセンは、第3ラウンドも前半9ホールは2バーディ・ノーボギーで通算20アンダーパーにスコアを伸ばした。この時点で同組の鈴木亨に11打差をつけて、ますます独走態勢を固めていた。迎えた大会47ホール目の11番(パー4)。ピン手前7メートルに2オンさせた。ここから3パットしてのボギーであった。
「ファーストパットが上りラインだったので強めにヒットしたら1.5メートルほどカップをオーバーした。返しのパットがカップに蹴られて…」。
47ホール目の初ボギーの後は、続く1
2番のバーディでバウンスバックしたが、14番に大きなトラブルが待ち受けていた。風の中で軽めに打ったという第2打がグリーン手前の植え込みに飛び込んでしまった。すっぽりと潜り込んだボール。バックスウィングも十分にとれない。掻き出すように数メートル先のラフまで脱出させるのが精一杯だった。そこからのアプローチで4オン。1メートルほどのボギーパットはまたもカップの縁に蹴られてダブルボギーとなってしまった。第3ラウンド前半までのマークセンのプレーぶりからは、考えられないような乱れようではあった。
ただし、乱れたままの流れにはしなかった。続く15番(パー5)をバーディにして、またまたバウンスバックすると最終18番もバーディに仕上げて、通算20アンダーパーと54ホールの大会最少ストローク記録(これまでは2008年大会の中嶋常幸がマークした15アンダーパー)を大幅に更新した。
15番からの3連続バーディで5打差に迫ってきていた鈴木が18番をダブルボギーにしたことで、結局8打差のリードで最終ラウンドを迎えることになった。
ホールアウトしてテレビのインタビューに応えた後、数球のボールを取り出して練習グリーンへ。それも、長くは続かなかった。周囲に子供たちが集まって見ているのを目にすると、自分から近づいていってボールにサインしてプレゼント。撮影会のようになっても、向けられたレンズに、にこやかな笑みを浮かべて子供たちと同じフレームにおさまった。
「明日は、台風で中止になるかもしれないけど、残り18ホール、もう一息頑張ります」
ちょっとした乱れのことなどすっかり忘れたような余裕をみせていた。連覇達成は、もはやカウントダウンが始まっているかのようだった。
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