鈴木亨は、ホールアウトするなり、肩をがっくりと落とした。悔やんでも悔やみきれない最終ホールのダブルボギーが、その理由だ。
「後半に入って、自分でもいい感じで来てきたんですよ。ドローボールもフェードボールもしっかりとイメージ通り打てていたし、パッティングもよく決まってくれていましたからね。15(アンダーパー)にしておけば、最終ラウンド、なんとか競い合えると思っていましたので……」という流れを壊してしまったのが、最終18番のダブルボギーだった。
18番。第1打を左のファーストカット。その次の1打だった。ボールがイメージ以上に飛んでオーバー。「168ヤードあったんです。それを7番アイアンで打つ選
択をしました。でもわずかに前上がりでしたので、フライヤーも考えて、カットさせて打とうと考えたんです。そのとおりに打ったのですが、ちょっと深く入ったんでしょうね。あんなに飛びすぎるとは……。もし8番アイアンで打てば、ピンには届かないですしね。うーん。あー、悔しいなぁ。僕の技術が足りなかったのでしょうけど、それまでいい流れだったから余計、悔いが残ります」と、頭をうなだれた。
前半、1、4番とバーディ。6、9番とボギー。バーディは、ともに3メートルほどの距離だった。後半になって、ますますショットとパッティングが冴え渡った。10番4メートル、12番3メートル。そして15番では1.5メートル。さらに16、17番と連続して気持ちよく沈めてのバーディだった。
「彼(息子で今回のキャディ=貴之さん)との息もぴったりでしたからね。いや助けられました。僕の癖は、どうしてもパッティングのラインの読みを、深く読んでしまうんですよ。それを、彼は、浅く読む。その通りだったんですよ。彼もこの1年間でゴルフも成長していますし、頼りにしています。途中、そんなに読めるならお前が打てよって冗談も言える余裕があったほどです。でも、最後のボギーパットは、僕の悪い癖がでて、深めに読むラインで打ってしまったんですよ」
残り18ホール。最終ラウンドを前に、鈴木は8打差はなれたマークセンを追わなければならない。「ともかく、やれるところまでやるだけです」と言う鈴木。逆にマークセンは「今日の鈴木のプレーは、ほんとに素晴らしかった。あのゴルフを見ていたら、最終ラウンドは、きっと競り合いになると感じましたよ。僕が、通算23〜24アンダーパーにすれば勝てるとは思うけど、そうでないと競り合いになります」と、マークセンは、鈴木をしっかりとマークしていた。
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