菊地絵理香は、過去の本大会で、辛酸を嘗めていた。あと一歩で日本女子オープンの優勝杯に手が届くという寸前で逃していた。
最初は、2013年大会(相模原GC)だった。3日目を終えて首位を走る宮里美香とは5打差。最終ラウンド、前半を1オーバーパーでターンしたあと3つのバーディを獲って、この日崩れていた宮里美香に14番のバーディで追いついた。さらに15番で宮里がボギーで首位に躍り出た。ところが、終盤の16、17番でボギーを叩き、18番ではともにバーディとしたものの1打及ばすに2位タイとなった。クラブハウスに戻った菊地は「やっぱり口惜しいし、自分が情けない」と涙した。2014年大会は、第2ラウンドを終
えて2位タイにつけていたものの、結果的には6位となった。
再び、優勝チャンスは、その2年後にやってきた。2015年大会(片山津GC)である。チョン インジとの熾烈な戦いだった。最終ラウンド。インジ、菊地、そして李 美香が、通算2アンダーパーでホールアウトして、プレーオフに持ち込まれた。その4ホール目で、力尽きて敗れ去った。いや、それ以上に惜しい場面があったのだ。“タラレバ”を敢えて言えば、72ホール目の18番だった。菊地が、インジと李を1打リードして迎えた。パーでホールアウトすれば優勝である。ところが、パーパットを外してしまっていたのだ。
「ラインはわかっていたのですが、打ち切れませんでした。最後に気持ちのこもらないパットをしてしまったこと。それで優勝を逃すことになったのが悔しい。自分の責任だし、やっぱり自分に勝ち切れなかったという思いが残ります。プレーオフに負け、最終ラウンドの自分にも負け。リベンジは、またお預けになりました。不甲斐ないです」 と、その時コメントを残した。
それから3年後の今年である。第2ラウンドを終えて菊地は通算5アンダーパーで迎えた第3ラウンド。菊地は、出だし1番でバーディのあと、5番をボギーとしたものの、そこから3連続バーディ。さらに16番は、ボギーとしたものの後半も12、15、18番をバーディとしてこの日、67のベストスコアで一気に通算10アンダーパーの首位タイに躍り出た。
最終ラウンドの戦いは、菊地にとって3度目の正直となって欲しい。
「どうですかね。いい意味で神経質にならず、鈍感にバックナインをプレーできれば良いかな、と思います。どうしても神経質になり過ぎるところが優勝争いの終盤になるとあるので、自分でもそれは(本大会2度の経験で)解っているので、明日、いかに本当に細かいことを気にせず、神経質にならず、いい意味で鈍感でいけるかが、大事かなと思います。(この2年間で、3勝できた成長は)100ヤード以内のショットが、いちばん良くなったかなと思うので……」その努力を遺憾なく発揮したい決意が見えた。
ひたむきに努力してきた選手を、ゴルフの神様は、見捨てない、はずだ。
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