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マッチプレー時代の日本女子アマを連覇して鳴り物入りでプロ転向した比嘉真美子は、92年会のメンバーより1年後輩になる。順調な滑り出しから、一転してドライバーショットのイップスに襲われ極度の不振に陥ったが、昨年のNEC軽井沢72ゴルフトーナメントで優勝を遂げた。「この優勝は、復活ではありません。新しい比嘉真美子の誕生です」と口にしたスピーチが耳に残っている。新生・比嘉は今シーズンKKT杯バンテリンレディスで優勝、賞金女王争いを演じている。全英女子オープンでの活躍も記憶に新しい。海外メジャー大会で示したパワーゴルフの実力を、今度は日本のメジャーである日本女子オープンで示すときだ。
比嘉の1年後輩になる鈴木愛は、2年連続賞金女王への道を突き進んでいた。シーズン前半の最終戦に位置付けられている6月のアース・モンダミンカップまで11試合に出場して4勝を挙げ、史上最速で獲得賞金1億円突破。1試合を除いて全て優勝争いに絡んできた。アクシデントに襲われたのは、同大会の後1週間のオープンウィークを挟んで始まった後半戦でのことだった。右手首を痛めたのだ。ボールを打つことができないから、練習もできない。予想以上の長期療養となってしまった。欠場が続いていた間は、8月初旬、豪雨被害のでた西日本地域に2000万円を寄付したことが、鈴木に関するニュースとなった以外は、「鈴木愛は、今週も欠場」と短く告げられただけだった。それでもトレーニングは欠かさなかったという。故障個所が癒えれば、すぐにでも練習を再開したい、そして戦いの場に戻りたいという思いからだった。2年連続賞金女王への道は、障害を乗り越えて続いている。
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宮崎出身95年生まれの永峰咲希と96年生まれの柏原明日架は同学年。永峰は、今シーズンのフジサンケイレディスで念願のプロ初優勝を遂げた。その後、やや調子を落としていたが、ここにきて復調している。「ていねいに打とうとしすぎて、振り切れていなかった。飛距離も落ちてきて…。それでフィニッシュまでしっかりと振り切るようにしたら、飛距離が戻り、方向性も安定するようになった」と、復調を宣言していた。柏原は日本女子オープンでは上位争いの常連といえる。だが、肝心なところでミスをしたり、スコアを伸ばせずに涙を飲み続けてきた。
今大会こそ…の強い思いで初優勝に挑む。
96年生まれの三羽烏といえば、岡山絵里、森田遥、ささきしょうこの3選手である。そろってツアーでの初優勝は経験している。2勝目は、誰が先行するのか。このトリオの動向にも注目したい。そして97年生まれは永井花奈。そろそろアマチュア時代の3位(2014年大会:ローアマチュア)の順位を上回りたい。
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上田桃子、有村智恵らの宮里藍世代の存在も、見落とせない。アン ソンジュ、申ジエ、さらに3週間で2勝した黄アルムらの韓国勢も、怖い存在だ。イ ボミ、キム ハヌルは調子を落としてしまっているが、まだまだ層は厚い。そこにUSLPGAで戦うチョン インジ、キム ヒョージュ、ユ ソヨン、キム インキョンが加わることになった。インジが初出場で日本女子オープンを制覇したのが2015年大会。世界のメジャータイトルホルダーに羽ばたいていっても、この大会には欠かさず出場して日本のファンを楽しませてくれている。今年は、2度目の戴冠を最大目標にしている。3連覇を狙う畑岡奈紗との日本での対決は見ものである。ヒョージュはアマチュア時代にサントリーレディス出場のために来日し、プロを押しのけて優勝をさらっていった。韓国に戻ってプロ転向し、その後はUSLPGAツアーを主戦場にしてきた。世代も国境も超えた実力者たちが、やはり優勝争いの中枢をなすのであろうか。
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アマチュアとして出場するのは、吉田優利、安田祐香、小倉彩愛、西村優菜、佐渡山理莉、古江彩佳らの選手たちだ。昨年までは、高校2年生時に日本女子アマを最終ラウンドの大逆転で制した安田が筆頭格だった。今年は、リーダーが吉田に変わった。日本女子アマに続いて日本ジュニアと宮里藍以来の同一年ダブルタイトルを達成している。世界女子アマチュアゴルフチーム選手権にも安田、西村と日本チームを組み、アイルランドに遠征した。スウィング完成度の高さだけではなく、コースマネジメントにも長けていて、総合力で高いレベルにある。
日本女子アマを制した吉田は、1年間の自身の進化を具体的に、こう語っていた。「最終ラウンドにいったんは、首位の座を奪われました。こういう展開になると、以前なら“これでゴルフが終わるわけじゃないから、まあ、いいか”と自分から逃げてしまうところがありました。でも、今回は、“まだ、ここからが本当の勝負”と強い気持ちでコースと自分に真正面から向き合えました。ここが一番の成長だと思います」
これが、日本ジュニアでも同様の流れから逆転しての優勝につながった。後半になって2打差をつけられたところで残りホールを頭に描き、冷静に「バーディを狙ってとれるホールは何番と何番か」と計算し、考えた3ホールを全てバーディに仕留めてダブルタイトルをしっかり手繰り寄せた。「自分の現状を把握して出来る範囲で組み立て、それでも目の前の結果には拘る」そういうゴルフができたことで、またひとつ自信を深めている。
小倉は2年連続のローアマチュア獲得に挑む。
「優勝争いに加わってのローアマチュア争い」これが、プラチナ世代選手たちの合言葉になっている。
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