2018年度(第51回)日本女子オープンゴルフ選手権競技
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大会のみどころ 勝者はコースに選ばれる
  1998年・99年生まれの選手たちが黄金世代と呼ばれている。この世代をずっとリードしてきたのが勝みなみだった。高校1年で女子プロツアー競技であるKKT杯バンテリンレディスに優勝、さらにアマチュアとして日本ジュニア、日本女子アマ、日本女子オープンローアマチュアと主要タイトルを高校2年までに総ざらいした。「勝に追いつけ、追い越せ」を合言葉に畑岡奈紗、新垣比菜、小祝さくら、松田鈴英、大里桃子、原英莉花、三浦桃香といった同年齢の選手たちが切磋琢磨して力をつけていった。その後プロに転じて、早くも一大勢力になっている。今大会には、3連覇を狙う畑岡はじめ、勝、新垣、小祝、松田、大里、原が出場する。黄金世代の躍動を楽しもう。

畑岡が「一大転機になった」という試合がある。高校1年で出場した日本ジュニア15~17歳の部だ。2日間で通算11アンダーパーと突っ走り、2位に6打差をつけて最終ラウンドを迎えた。その2位にいたのが勝みなみだった。最終ラウンド最終組での直接対決となり、畑岡は逆転され、逆に2打差をつけられての2位に終わった。 後に畑岡は、この大逆転負けを振り返り、こうもらしていた。「終盤の体力、集中力に差を感じた。負けた悔しさよりも、それからの自分に対する大きなテーマを与えられました」。フィジカル、テクニカル、メンタル。畑岡は、一層の努力を重ね、2016年のアマチュアでの日本女子オープン制覇という快挙につなげていった。
1年生で日本ジュニアを制した勝は、その翌年には日本女子アマに優勝、日本女子オープンでは全体の11位でローアマチュア獲得と主要タイトルを総ざらいして「アマチュアとして欲しいタイトルは、すべて獲れたので、アマ競技からは卒業します」と、3年生時には、軸足を推薦で出場機会を与えられるプロツアー競技に移し「宮里藍さんがやり遂げたように、優勝してプロ転向」を狙った。そして、この戦いでは、畑岡に先を越されることになり、2017年のプロテストを経てツアー出場権をつかんだ。

 
同年代の選手たちが、大挙して挑んだ同年のプロテスト。トップ合格を果たしたのは松田鈴英だった。その権利として与えられたシーズン残り競技への出場でシード権は逃したが、QTから今シーズンの出場権もつかみ、リランキングもクリアして8月のNEC軽井沢72ゴルフトーナメントで3位に入り、賞金ランキング29位に浮上、翌週のCATレディスでも、その順位をキープして<8月20日時点での賞金ランキング30位以内>のカテゴリーで日本女子オープンへの出場権を手にした。
 
このCATレディースで一発出場権をもぎ取ったのが大里桃子だった。第2ラウンドにトップに立ち、最終ラウンドは森田遥の追撃を振り切ってプロ初優勝を飾った。2017年のプロテストには失敗したがQTでツアー出場権をつかみ、フル参戦していた。その中で2 度目のテストで合格、名実ともにプロとなってつかんだ栄冠であった。
大里よりも一足早くプロ初優勝を果たしたのが、新垣比菜である。アマチュア時代は、勝を追いかける立場だった選手のひとりだった。追いかけるといっても、勝の背中は、すぐ目の前にあった。勝は高校1年で女子レギュラーツアーで優勝したが、新垣は興南高校2年生時に出場したステップ・アップ・ツアーのラシンク・ニンジニア/RKBレディースでプロを抑えて史上3人目のアマ優勝を成し遂げた。2017年のプロテスト合格、さらにQTを経て与えられた限定出場の中で、サイバーエージェントレディスでプロ初優勝を達成、早々と日本女子オープンへの出場権も手に入れていた。このときの最終ラウンドスタート前の練習グリーンで「優勝争いで緊張したときは、どうすればいいの?」と新垣からアドバイスを求められた勝は「何か食べることと、飲み物を口にするといい」と答えていた。初優勝は、このアドバイスのおかげ…と言いたいところだが、実際は「後半になって緊張しすぎて忘れてしまっていた」(新垣)ということで、役には立てられなかったが、同世代の絆の強さを物語るエピソードではあった。
大里桃子・新垣比菜
黄金世代をリードしてきた勝が未勝利でいるうちに、同年齢の選手たちが次々に脚光を浴びるようになった。安定性で光るのは小祝さくらだ。中京テレビ・ブリヂストンレディス、センチュリー21レディスの2位タイはじめ、トップ10入り回数では黄金世代随一で獲得賞金は4000万円を超えている。次に勝つのは、勝か小祝かといわれる存在に成長している。
8月27、28日の両日、千葉県の紫CC・すみれコースで行われた日本女子オープン最終予選会からは、30位タイで突破した原英莉花が本選への出場権をつかんだ。前週のニトリレディスで自己最高位の3位タイに入り、北海道から千葉に飛んで帰って挑んだ最終予選会であった。尾崎将司の元で練習を積み、昨年のプロテストには失敗したものの、QTからチャンスをつかみ、ステップ・アップ・ツアー、レギュラーツアーで実力をつけてきた。今年、2度目のテストで大里桃子らとともに女子プロゴルフ協会メンバー入りした。日本女子オープンは4年連続出場となる。アマ時代の2015、16年大会は予選落ち、プロとして出場した昨年は23位タイに食い込んだ。170センチの大型プレーヤーで、尾崎仕込みのロングヒットは見応えがある。黄金世代の輝きは、眩しい。

勝みなみ・小祝さくら・原英莉花
女子プロ界の世代別勢力分布 ここ数年、日本の女子ツアーは世代交代が進み、主力選手の層が厚くなっている。宮里藍世代から始まった流れである。その流れの変化を追うと、世代別の勢力分布図が浮かんでくる。宮里藍世代から黄金世代まで。今大会では、どの世代の選手が栄光の座につくのであろうか。
 
最大勢力は92年会  
女子プロツアー界には、同年齢やプロ入り同期の仲間意識を強く持ったグループが数多く存在する。 その中で最大勢力を誇るのは<92年会>であろう。1992年4月から93年3月生まれの選手たちが結成したグループである。メンバーには成田美寿々、福田真未、青木瀬令奈、葭葉ルミらに加えてフェービー・ヤオ、イ ミニョン、ペ ヒギョンらの名前が連なる。ツアーの遠征先で定期的に食事会なども開き、友好を深めるとともに、情報交換の場にもしている。この会では、直近の優勝者が出席者に食事を奢ることになっていて、共通しているのは、みんなが奢りたがりであるところ。8月の北海道meijiカップでツアー2勝目を挙げたのは福田真未で、メンバーに奢ることになったのだが、うらやましがったのは、最終ラウンド最終組で福田と戦い、3位となった青木だった。
「今回は、(福田)真未にいい役をもっていかれたけど、次は、私が奢りたい」
昨年の伊藤園レディスで福田がプロ初優勝を遂げたとき、食事会の後の二次会でカラオケにいき、成田と青木が、ゆずの<栄光の架け橋>を歌って福田に贈り、号泣させたという話を聞いた。練習しても、さらにそれを重ねても優勝には届かなかった時期、苦しい思いを仲間たちは知っていた。優勝目前で緊張のピークからミスを連発し、ようやくつかんだ初優勝。「おめでとう」の言葉よりも、この歌の歌詞が、それまで福田の歩みに重なり、心に届くとの思いで贈った歌である。
メンバーの誰かが優勝シーンを迎えようとするとき、グリーンサイドには残った92年会のメンバーが祝福のために待ち構えている。これも恒例になった。最終ラウンドの最終ホールグリーンには誰がいて、グリーンサイドには誰が待ち構えているのか。今大会でも、戦いの最後のシーンは見逃せない。
成田 美寿々・福田 真未・青木 瀬令奈・葭葉 ルミ
93年生まれの代表は比嘉真美子、94年生まれは鈴木
マッチプレー時代の日本女子アマを連覇して鳴り物入りでプロ転向した比嘉真美子は、92年会のメンバーより1年後輩になる。順調な滑り出しから、一転してドライバーショットのイップスに襲われ極度の不振に陥ったが、昨年のNEC軽井沢72ゴルフトーナメントで優勝を遂げた。「この優勝は、復活ではありません。新しい比嘉真美子の誕生です」と口にしたスピーチが耳に残っている。新生・比嘉は今シーズンKKT杯バンテリンレディスで優勝、賞金女王争いを演じている。全英女子オープンでの活躍も記憶に新しい。海外メジャー大会で示したパワーゴルフの実力を、今度は日本のメジャーである日本女子オープンで示すときだ。
比嘉の1年後輩になる鈴木愛は、2年連続賞金女王への道を突き進んでいた。シーズン前半の最終戦に位置付けられている6月のアース・モンダミンカップまで11試合に出場して4勝を挙げ、史上最速で獲得賞金1億円突破。1試合を除いて全て優勝争いに絡んできた。アクシデントに襲われたのは、同大会の後1週間のオープンウィークを挟んで始まった後半戦でのことだった。右手首を痛めたのだ。ボールを打つことができないから、練習もできない。予想以上の長期療養となってしまった。欠場が続いていた間は、8月初旬、豪雨被害のでた西日本地域に2000万円を寄付したことが、鈴木に関するニュースとなった以外は、「鈴木愛は、今週も欠場」と短く告げられただけだった。それでもトレーニングは欠かさなかったという。故障個所が癒えれば、すぐにでも練習を再開したい、そして戦いの場に戻りたいという思いからだった。2年連続賞金女王への道は、障害を乗り越えて続いている。
比嘉 真美子・鈴木 愛
 
95年から97年生まれの選手たち
宮崎出身95年生まれの永峰咲希と96年生まれの柏原明日架は同学年。永峰は、今シーズンのフジサンケイレディスで念願のプロ初優勝を遂げた。その後、やや調子を落としていたが、ここにきて復調している。「ていねいに打とうとしすぎて、振り切れていなかった。飛距離も落ちてきて…。それでフィニッシュまでしっかりと振り切るようにしたら、飛距離が戻り、方向性も安定するようになった」と、復調を宣言していた。柏原は日本女子オープンでは上位争いの常連といえる。だが、肝心なところでミスをしたり、スコアを伸ばせずに涙を飲み続けてきた。
今大会こそ…の強い思いで初優勝に挑む。

96年生まれの三羽烏といえば、岡山絵里、森田遥、ささきしょうこの3選手である。そろってツアーでの初優勝は経験している。2勝目は、誰が先行するのか。このトリオの動向にも注目したい。そして97年生まれは永井花奈。そろそろアマチュア時代の3位(2014年大会:ローアマチュア)の順位を上回りたい。

永峰咲希・柏原明日架・岡山絵里・森田遥・ささきしょうこ・永井花奈
 
優勝の行方は?
上田桃子、有村智恵らの宮里藍世代の存在も、見落とせない。アン ソンジュ、申ジエ、さらに3週間で2勝した黄アルムらの韓国勢も、怖い存在だ。イ ボミ、キム ハヌルは調子を落としてしまっているが、まだまだ層は厚い。そこにUSLPGAで戦うチョン インジ、キム ヒョージュ、ユ ソヨン、キム インキョンが加わることになった。インジが初出場で日本女子オープンを制覇したのが2015年大会。世界のメジャータイトルホルダーに羽ばたいていっても、この大会には欠かさず出場して日本のファンを楽しませてくれている。今年は、2度目の戴冠を最大目標にしている。3連覇を狙う畑岡奈紗との日本での対決は見ものである。ヒョージュはアマチュア時代にサントリーレディス出場のために来日し、プロを押しのけて優勝をさらっていった。韓国に戻ってプロ転向し、その後はUSLPGAツアーを主戦場にしてきた。世代も国境も超えた実力者たちが、やはり優勝争いの中枢をなすのであろうか。

上田 桃子・有村 智恵・チョン インジ・キム ヒョージュ
ローアマチュアはプラチナ世代の争い
アマチュアとして出場するのは、吉田優利、安田祐香、小倉彩愛、西村優菜、佐渡山理莉、古江彩佳らの選手たちだ。昨年までは、高校2年生時に日本女子アマを最終ラウンドの大逆転で制した安田が筆頭格だった。今年は、リーダーが吉田に変わった。日本女子アマに続いて日本ジュニアと宮里藍以来の同一年ダブルタイトルを達成している。世界女子アマチュアゴルフチーム選手権にも安田、西村と日本チームを組み、アイルランドに遠征した。スウィング完成度の高さだけではなく、コースマネジメントにも長けていて、総合力で高いレベルにある。
日本女子アマを制した吉田は、1年間の自身の進化を具体的に、こう語っていた。「最終ラウンドにいったんは、首位の座を奪われました。こういう展開になると、以前なら“これでゴルフが終わるわけじゃないから、まあ、いいか”と自分から逃げてしまうところがありました。でも、今回は、“まだ、ここからが本当の勝負”と強い気持ちでコースと自分に真正面から向き合えました。ここが一番の成長だと思います」
これが、日本ジュニアでも同様の流れから逆転しての優勝につながった。後半になって2打差をつけられたところで残りホールを頭に描き、冷静に「バーディを狙ってとれるホールは何番と何番か」と計算し、考えた3ホールを全てバーディに仕留めてダブルタイトルをしっかり手繰り寄せた。「自分の現状を把握して出来る範囲で組み立て、それでも目の前の結果には拘る」そういうゴルフができたことで、またひとつ自信を深めている。
小倉は2年連続のローアマチュア獲得に挑む。
「優勝争いに加わってのローアマチュア争い」これが、プラチナ世代選手たちの合言葉になっている。

吉田優利・小倉彩愛・佐渡山理莉・安田祐香・西村優菜・古江彩佳
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