428ヤードと距離の長い16番(パー4)。今大会難易度は1番で4.474 。ほぼ2人に1人がボギーにしている勘定になる。雨でランは、ほとんど期待できない。畑岡は、このホール、「高い弾道で打ち出し、キャリーのあるショットを打ちました」といい、フェービー ヤオも同様に「できるだけ高い弾道にしたかった」とドライバーで高いキャリーボールを打ち、距離を稼ぐことを意識していた。
ユ ソヨンは、敢えて3番ウッドを手にしていた。理由はふたつあった。ひとつは「昨日(第2ラウンド)、ドライバーでちょっとプッシュアウトして池に入りそうになり、ヒヤッとした悪い印象が残っていたから」。もうひとつは「3番ウッドもフェア
ウェイをとらえておけば、自分の飛距離なら第2打もウッドでグリーンに乗せられるから」というものだった。
ドライバーを使った畑岡、フェービーが第2打でグリーンを外し、厳しい距離のパーパットを打たなければならなかった(畑岡は深いラフから5メートルに3オン、フェービーは4メートル)。フェービーは、パーパットを沈められたが、畑岡は決められなかった。両選手が神経をする減らしたホールをユ ソヨンは何のストレスもなく、2パットのパーで通過した。
メジャー2勝の元世界ランキング1位(現在4位)の計算されたホール攻略、コースマネジメントが際立ったシーンであった。
「こういうコンディションの中でのラウンドでは、バーディを狙えるホールは限られてくる。そこはしっかりと積極的に攻めて、パーでクリアしていきたいホールは、ストレスのないようにサラッと通過する。そういうメリハリが大切だと思っています」世界を舞台に戦ってきたユ ソヨンの言葉には、重みがあった。
いよいよ、あと1日。最終ラウンドのポイントとしては、こんなことを挙げた。「雨の中だと距離感をつかみにくいし、いろいろなボールライの状況もある。今日のように、スマートにクラブ選びをしながら、プレーすることが大切だと思います。良いポジションにいて、優勝争いもできる。勝てたら名誉なことです。1打1打、1ホール1ホールに集中してベストを尽くします」
本人が口にしたスマートなクラブ選びとは、賢い選択を意味する。そして、そこには勝者となるにふさわしい戦いを世界で続けてきた経験がある。
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