首位と2打差。第3ラウンドは、その差に追いつけ追い越せという戦いのはずが、むしろ畑岡奈紗は、迷いの中に入って躊躇してしまっていた。1番で、いきなりバーディパットを決めて、首位と1打差に迫った。ところが、次の2番、3番とチャンスを逃してしまう。「本当にスタートホールだけが思ったように打てた感じで、2,3番は弱くて、そのパッティングでリズムをつくれませんでした」と振り返る。
迷いは、不安がともなう。そして戸惑い迷路にはまる。気持ちがレールの上でスムーズに走れないのだ。しかも雨。コンディションも前日とは大きな違いがある。「今日は、(雨もあって)ホールロケーションが結構きわどいところに切ってあっ
て、3番とかも、打ちすぎると返しが……というのを、そういう考え方も良くないけれど、そういうのを考えて打てなくなっていったのかなと思います。なので、本来は、ホールロケーションも難しいところなので、もう少し打ちやすいところに3打目とかつけられればよかったですね」と、マネージメントについても、終わって見れば冷静に判断できる。1番でバーディのあと、7番でボギー。10、12番でバーディとしたものの13、16番でボギー。確かに波に乗れていないスコアの動きである。
畑岡の粘り、ゲームの読みの鋭さを見せたのは、18番(パー5)だった。3打目のアプローチショットを1メートルにつけてのバーディだった。
「(スタート前の練習場で)50ヤード前後のアプローチを重点的にやっていたのは、まだ微妙なハーフショットのアプローチとかが自分の中では納得がいかないから、ちょっと多めに練習しました」その甲斐があってのショットだった。そのバーディは、畑岡にとっては大きいものだという。
「(首位と)2打差なのか、3打差なのかは大きい差だと思うので、なんとか入れたいという気持ちでした。入ってよかったです」と安堵した。確かに、この展開では、せめて2打差にとどめておきたい。それが試合展開の流れを自分の手の中に入れられるかどうかにかかってくる。3打差ならば、ひたすら攻めるしかない。そんな機微もあっての1打だった。
畑岡の迷いは、18番のバーディパットを打つ前に、消えたのかも知れない。
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