高校3年生の後藤未有は、来年のプロテストを受け、プロの世界に飛び込んでいく決意を固めている。今大会には、密かに、しかし、しっかりと立てていた計画があった。それは、ローアマチュアになることだった。そうすれば、1次、2次のテストをパスして、いきなりファイナルに挑戦できる。テストにかかる費用も1次からと比べて節約できる。親の負担が少なくなる。
計画は、実現した。願い通りのローアマチュア獲得が決まった。しかし、感想は「よかったです」と、意外なほどそっけなかった。というのも、決定後の後藤の頭の中には、これから目指すべき自分のゴルフのことが押し寄せてきていたからだ。
「第3ラウンド、最終ラウンドと
オーバーパーにしてしまったことが悔しいです。まだまだ自分には沢山の課題があると、この大会で教えられました。それをこれからひとつずつクリアしていかないと、プロになっても、それだけで終わってしまいかねませんから」。冷静に自分に向き合っていた。だから、喜ぶのは一瞬で、すぐに次のステップに思考回路を切り替えた。大会第3ラウンドに18歳の誕生日を迎えた。このローアマチュア獲得は、1日遅れの自分への誕生祝いになったが、思い描くゴールは、ずっと先にある。「しっかりトレーニングして体幹を鍛えてスウィングを安定させること。4日間を戦い抜ける体力を身につけることから取り組みます。今日も、ボールが右に飛び出していくことがありました。体力、スタミナ不足です」
ローアマチュアを獲って、なお課題が頭から離れない様子の後藤であった。
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