畑岡奈紗の脳裏に「3連覇」という意識が、確かに沈殿していた。それを払拭するには、畑岡のゴルフの内容に十分納得のいく確信がなかったのかも知れない。「今週の月曜日の状態では、全然(3連覇を)狙える調子じゃなかったんです。それが、なんとか実戦を重ねていくうちに良くなってきたことは確かです」そうは言っても、ゲームの流れを左右する肝心な場面で、うまくいかない。「やっぱり、ちょっとしたことで、いい感触をつかめたり、逆に、ズレてしまったりということがありました」と言った。
最終ラウンド。首位タイにユ ソヨンと菊地絵理香。その通算10アンダーパーに2打遅れて逆転を狙う畑岡だった。「ともかく、ソヨンさんだから
、攻めていかないとと思っていました。ですから1番、2番とバーディがとれて、この調子でと思ったんですが」3番から12番まで、スコアを伸ばすことができなかったのだ。
「とりこぼしでした」と反省する。3番からショットが少しブレはじめた。4〜5メートルの距離のパッティングも逃した。「特に、7、9番ですね」という。逆に、畑岡が取りこぼしている間に、ソヨンは、きっちりとバーディを獲っている。2番バーディのあと、6、7番のバーディが、それである。
畑岡は、それでも諦めていなかった。「後半で、まだ勝負できる」という気持ちだった。「6、7番のあと、11番を取りこぼしして、一歩前に出られなかったのが敗因だと思います。3日間、ソヨンと一緒に回っていて、やっぱり拾い方が上手いなと思いました」ピンチのときにパーを拾う。ミスしても、次のショットで拾って優位に立つ。攻めと守りの考え方などである。
2位となった畑岡が、表彰式でディフェンディング・チャンピオンとして、ユ ソヨンにチャンピオンズプレザーを着せる役割をした。「いつかは、こういう立場になるとは解っていましたが、やっぱり、着せられる立場でいたいですね。また来年以降は、そういう立場でいたいと思います」と語った。
畑岡は、今シーズン、残り5試合だという。「できれば、その中でひとつ優勝したいです」と前向きに語っていた。
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