「まったくつけ入る隙きがありませんでした」と菊地絵理香は、優勝したユ ソヨンのゴルフを語った。3日目を終えて、菊地は、ソヨンと並んで首位に立っていた。相手は、世界ランキングで1位になった実績を持っている。いまでも4位にランクしている。ソヨンのゴルフを考えれば「(最終ラウンドは)ともかくスコアを伸ばすことだけに専念しよう」という意気込みでスタートした。その菊地が、2番でボギーを叩いてしまったのだ。それでもまだまだ先が長い。ソヨンになんとか喰らいついていこうという思いだった。
7番で、バーディが、ようやくきた。けれども、ソヨンは、6、7番と連続バーディを奪った。菊地にもチャンスがなかったわけでは
ない。9番、あるいは11番とチャンスのときに、パーとボギーだった。「つけ入っていかなければならない自分が、スキを見せてしまった」と敗因を語る。
菊地は、この6年間で、日本女子オープンの成績は、2013年から2位タイ。6位タイ。2位タイ。10位タイ。8位タイとベスト10を外したことがない。着実にスキルを伸ばしてきている。その成果は、随所に表れていた。100ヤード以内のショットの精度もそうである。それでも、ソヨンとの差は、5ストローク離されての敗退だった。「今日の自分のゴルフの内容から、冷静に判断すると、ソヨンのゴルフの内容と合わせると5打差以上ついてもおかしくない」というソヨンとの差を、まざまざと感じたという。
何が、足りなかったのか? という意地悪な質問をすると「自分のゴルフに、もっと安定感がなければダメでしたね。どっかで勝ちたいという意識があったのかも知れない。精神的に、敢えて言えば硬さがあったのかも。足りなかった部分が、そのまま勝てなかったということになります」と言った。具体的に言えば、まずはドライバーショットの安定感だった。ソヨンは、フェアウェイを1、2回ほどしか外していなかったのに対して、菊地は、バラツキが多かった。「もちろん100ヤード以内のショットに関しても、まだまだです。総合的に、口惜しいけれど、つけ入る隙きがなかったです。攻め方の余裕も含めて、ソヨンさんは、ショット力もマネージメントもすごかったです」と語った。
でも、と菊地は言った。「また目標が見えてきたし、今日のラウンドは、楽しかったです。勝てないということは、まだ課題がたくさんあるということですし、足りなかった部分が、ほんとうに勝てなかった原因だと思うので、もっともっと技術を上げて、練習するだけかなと思います。いつもこの大会の優勝争いは、苦しい、辛いものでしたけれど、ほんとに楽しかった」と言った。菊地の「楽しい」という気持ちは、最後まで諦めないで、冷静にゲーム運びができたという意味だと思う。
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