シニア初見参の谷口徹。入念な練習を終えて1番ティーインググラウンドに立った。第1打はナイスショットだった。そして第2打を打とうと距離を測っていると、残り距離は、ユーティリティの番手だった。そのとき、ふと「あれ、これって練習していなかったんだ」と思った。「なんか朝の練習場で、3番ウッド打って、5番ウッド打って、3番ユーティリティを打ち忘れていたことに、いざ使うときになって気がついたんですよ」と言った。練習に夢中になりすぎたのか、緊張感だったのか、このクラブだけ抜けてしまっていた。
初めてのシニア競技の印象を聞くと「いやー、シニアは、楽しいとか和気あいあいとか聞いていたんですけど、とんでもな
いですね。しっかり競技、ですねよ。真剣だし。ピリピリ張り詰めているしね」という第一印象だった。1番でいきなりボギーでスタートした谷口だが、それからのゴルフの巧みさは、さすがである。4,5番とバーディ。「ちょっと流れが止まっちゃったのが8番のボギーでしたね」3パットのボギーだった。そこから12番までずっとパーが続く。
迎えた13番(197ヤード・パー3)で再びユーティリティを使う距離となった。「4番アイアンで打とうと思ったんですけど、突風が吹いてきて、3番ユーティリティで左からカット目にピンに寄せようと思ったショットが池にはまりました」。唯一、朝の練習場で手にしていない番手である。「ドロップエリアからの第3打をグリーンに乗せてのボギーパット。そのパッティングの集中力が、川岸の言う「ピンチのときの上手さ」だった。まるでバーディパットを狙うような眼光だったという。ここをダブルボギーとし、16番でバーディを奪って、第1ラウンドは、1オーバーパーの72でホールアウトした。
「(今日の結果について)自分では、もうちょっと行きたかったなぁ、という心境です。でも、ほんとにレギュラーツアーよりも、いい緊張感がありましたね」と谷口は印象を語った。谷口の言うように、和気あいあいに見えるようで、実は、どこかでゲームの緊張感は、ほどけないメリハリや、そこかしこで見せる熟達した技量の冴えなどが、緊張感を呼ぶのかも知れない。「(コースは)以前、ここでプレーしたときよりも木々は大きく繁っていますし、ラフも深いですし、侮れないホールばかりです。試合前は、とりあえずイーブンパーが目標だったんですけど、でもまあ、今日1オーバーパー、まずまずだと思っています」とルーキー・谷口は語っていた。とりあえず第1ラウンドが終わったけれど、今大会は、この谷口のスコアの動きが、ゲーム全体の動きに大きな影響を及ぼすことは、間違いない。
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