初出場のシニアルーキー伊澤利光は、練習ラウンドでのコースの印象を、こう語っていた。「けっこうタフです。洋芝のラフは粘って抜けにくく、ピンは狙えない。それどころか、小さめのグリーンなのでパーオンが難しくなるし、グリーンの傾斜も想定外の転がりで驚かされる。他の人はわかりませんけど、自分としては1アンダーパーならよし。そんな感じでしたね。ビッグスコアは出ないですよ」。
さて本番はどんな展開になったのか。第1ラウンドは、10番ホールからのスタートだった。14番でティーショットがラフにつかまった。グリーンを狙った第2打は花道に。アプローチショットは「どのくらい止まるのか、それとも転がるのか読み切れなく
て寄せきれなかった」。ということでボギーを先行させることになった。18番でも左ラフに打ち込み、前半の9ホールは2ボギーで後半に折り返すことになった。
レギュラーツアーで16勝。2度の賞金王。世界レベルのショットメーカーとして米ツアーでも高く評価された伊澤の真骨頂が発揮されたのは1番(パー5)だった。ティーショットでフェアウェイをとらえた後、第2打でグリーンに乗せての2パット。初バーディを奪った。ここからは、ショットも安定し、4番(パー3)では4メートル、8番(パー4)では2メートルとチャンスにつけてきっちりバーディに仕上げた。そして迎えた伊澤にとっての第1ラウンドの最終ホール。左奥のピンに対してボールは右のエリアに乗った。「やや下りのフックラインに見えた」というファーストパット。「打ってみたら上りだった」という目の錯覚で2メートル近くショートさせ、パーパットも外してイーブンパーでのホールアウトとなった。ショット精度の高さとコースの難しさ。両面を描き出した第1ラウンドではあった。
「アンダーパーで上がりたかったという気持ちはありますが、イーブンパーなら、まずまずというところでしょうかね。天候にもよりますけど、日を追って(自分のゴルフが)上昇カーブを描いていくイメージというか手応えはつかめた」。
初出場初優勝へ、順調に滑り出したといえよう。
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