畑岡奈紗のショットは、冴え渡っていた。特に、ティーショットのフェアウェイキープ率は100パーセント。つまり14ホール中14回すべてフェアウェイを捉えていた。大満足かと思いきや「まだ満点とは言えないんです。少し無駄があるスウィングだと思います」と、自己評価は、辛口だあった。
でも、それが畑岡奈紗の畑岡奈紗たるゆえんだ。ナショナルチーム時代、金谷拓美が「同期の畑岡奈紗ちゃんがナショナルチームにいて、ジョーンズさんのアドバイスを、ほんと100パーセント、いやそれ以上、120パーセントとか忠実に守って、真面目になんでもやっていて、1年で日本女子オープンに優勝(2016年)したり活躍していたんです
。じゃあ、僕も、全部やってみようと思いました」という言葉が物語っている。トレーニングも欠かさない。アスリートとしての身体能力も、めきめき充足してきている。
前日、ホールアウトして記者会見などを終えた畑岡は、練習場に走った。昨日の気づきの反復練習と修正だった。スタンスとボールの距離の修正から始まって、それに連鎖するチェック。特にアドレスから始動のテークバックと右肘の使い方だった。その修正の成果が、この日のラウンドに出た。
10番からスタートして、11番(344ヤード・パー4)で残り86ヤードをピッチングウェッジでピン奥2メートルにつけてバーディ。その後、13番(パー4)で2メートル。14番(パー5)では、3打目の28ヤードから2メートルほどにつけてバーディ。後半に入って、1番(パー5)で3オン。2メートルを入れてバーディ。6番(パー5)でも、2メートルに3オンしてのバーディ。「2オンを狙える距離が残ったのですが(飛球線上に)木があって、ちょっと邪魔していたので、今日は勝負しないで安全にいきました」と流れを崩さない攻めをしていた。ノーボギーの5アンダーパー。通算10アンダーパーで3位タイで後半のラウンドに進んだ。
「今日は、満足ではあるんですが、満点とはいかない一つに、アイアンショットですね。アイアンがまだブレ幅があります。ドライバーにしても、ボールに力がしっかりと伝わり切っていないことがいくつかありました」と、厳しく自己チェックしていた。
ノーボギーのゴルフ。5つのバーディを奪った畑岡も、まだまだ取りこぼしもあったという。この日は、ときおり強い風が吹いて、攻め方、番手選びに迷う場面もあった。特に、9番(パー4)のドライバブル・ホール。この日は、ティーイングエリアを前にして、273ヤード。「迷ったんです。ドライバーか、3番ウッドか。多分、3番ウッドでは足らないかもと、ドライバーで打ちましたけど、グリーン奥まで行ってしまいました」と言う。トーナメントの流れ全体を見れば、まだ36ホールを消化しようという状態で、攻めていく場面と、無理せずに安全を狙う場面。そして流れを切らさないリズムカルなゲームプランなど、畑岡のプレーは、やはり米ツアーで戦った経験が、しっかりと生かされている気がする。
「(振り返れば)今年のメジャーでは、勝ちたいという気持ちが入りすぎちゃって、空回りしていたんですね。ですから今回は、あまりそういう意識を持たなでやりたいと思います」と自分に言い聞かせるように語った。そして優勝スコアの話になると「20(アンダーパー)じゃ、足りないかな」と、残り36ホールでも、怯むことなく攻めのゴルフでいく気配だった。
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