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黄金世代の前に立ちはだかる強豪がいる。最も高くそびえるのは、申 ジエ、イ ミニョン、ペ ソンウ。
さらにディフェンディングチャンピオンとして出場するユ ソヨンらの韓国勢であろう。そこに鈴木愛、上田桃子、比嘉真美子、成田美寿々、穴井詩らのベテラン、中堅選手。そして黄金世代の1学年上になる松田鈴英、1学年下の稲見萌寧らもいる。
その中で勝者を決めるものとは、何であるのだろうか。“体・技・心”が基本にはなるだろうが、それだけではないゲームの流れであったり、運であったり、勝負どころの見極めであったり…。
様々な要素が複雑に絡み合ってチャンピオンは絞られていく。ファンには、それを見届ける楽しさがある。
申ジエにとっては、グランドスラムがかかった試合になる。昨年ワールドレディス、日本女子プロ、LPGAツアー選手権とメジャー3勝したものの、日本女子オープンのタイトルは逃し、年間グランドスラムの偉業達成はならなかった。未勝利の日本女子オープン制覇は、もう一つの大きな夢へと繋がるタイトルでもある。韓国女子ツアー、USLPGAツアーに続いて日本女子ツアーでも狙っているのが賞金女王の座。今年はビッグチャンスを迎えている。スタジオアリス、フジサンケイレディス、アース・モンダミンカップと3勝を挙げて獲得賞金も1億円を突破、賞金レースのトップをひた走ってきた。総合力では、女子ツアーで一歩抜け出している。
その総合力でいうなら、イ ミニョンも高いレベルにある。単年登録者として日本の女子ツアーに参戦したのが2017年。出場5試合目のヤマハレディースオープン葛城で初優勝して日本女子プロゴルフ協会会員となると、このシーズンさらに1勝を加えただけでなく、年間トップ10入り14回(2勝の他に5度の2位も含む)で獲得賞金は楽に1億円を突破してランキング2位となった。2018年も開幕戦を制し、さらに今年も2勝を含むトップ10が13回と、安定したゴルフを展開している。持ち味のフェードボールの冴えは、衰えをしらない。
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ペ ソンウは、日本女子ツアーでは25歳のルーキーだが、18歳でプロ入りした韓国ツアーでキャリアを積み、昨年の賞金ランキング2位になったことで日本ツアー参戦を決めた。5月の国内メジャー初戦となるワールドレディスで渋野日向子に優勝をさらわれたものの1打差の2位入賞で波に乗ると、リゾートトラストレディス、大東建託・いい部屋ネットレディスでも日本女子ツアー初優勝まであと一歩に迫った。悔しさが晴れたのは、8月の北海道meijiカップ。テレサ・ルーとのプレーオフで1ホール目にバーディを奪取して、念願の日本ツアー初優勝を飾り、その実力を充分に示している。 |
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鈴木愛は2度目の賞金女王の座を狙っている。ツアーきってのパッティング巧者で、今シーズンは、ゴルフ5レディスまでで最多の4勝を挙げている。一時、最大の武器であるパッティングに苦しむシーンがあったが、新しいパターに持ち替えて調子を取り戻し、本来のしぶといゴルフが蘇った。
上田桃子の持ち味は、パーオン率の高さにある。今シーズンはドライバーショットがやや不安定でフェアウェイキープ率は高くないが、ラフからでもグリーンをとらえるアイアンショットでカバーし、2勝を挙げている。
逆にドライバーショットの精度を高めたのが、ツアーきっての飛ばし屋である穴井詩だ。スイング改造に取り組み、以前よりコンパクトになったトップから思い切りよく振り切るスイングは、キレを増している。さらにアイアンもコントロールショットを多用するようになったことでパー3、パー4ホールでのバーディ率が向上した。豪打に巧打が加わり、難コースでのスコアメイクに苦しむこともなくなった。 |
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成田美寿々、比嘉真美子は爆発力のあるタイプだ。成田のシーズン1勝目はヤマハレディースオープン葛城。2勝目は大東建託・いい部屋ネットレディス。1勝目は、最終ラウンドに67をマークして4打差をつけられていたアン ソンジュを逆転したもので、2勝目も、やはり最終ラウンドに有村智恵を逆転して手に入れた。「逆転の成田」と言われるパターンにはまったときの強さは際立っている。比嘉は開幕戦のダイキンオーキッドレディスで地元優勝を果たした。それ以降、やや足踏み状態が続いている。シーズンも後半戦から終盤戦にかかろうかという時期、2勝目を挙げたいところであろう。
黄金世代をはさんで1学年上の松田鈴英と1学年下の稲見萌寧も見逃せない存在だ。松田は未勝利選手の中で最も優勝に近い位置にいるといわれており、いつ勝ってもおかしくないレベルにいる。武器は飛距離でスケールの大きなゴルフを展開する。パッティング精度の向上が望まれる。稲見は、黄金世代よりも下の選手で最初に初優勝を果たした。7月のセンチュリー21レディスで逃げ切りでの初戴冠であった。ゴルフの練習に時間を割きたいと通信制の高校を選び、練習できる環境を考えて千葉にアパートを借りて「1日10時間は練習した」という取り組み方を実らせた。「上が黄金世代、下がプラチナ世代。だったら間の私はダイヤモンド世代と言われるように頑張ります」。狭間世代の旗手である。 |
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畑岡奈紗が日本女子オープンの優勝をさらってから、ナショナルオープンに出場するアマチュア選手の目標、意識に大きな変化が生じている。目標がローアマチュアになることだけでなく、優勝を強く意識して大舞台に上がってくるようになっている。今大会にも、安田祐香を筆頭に優勝を狙えるだけの実力を備えた選手たちが顔を揃えている。
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1998年度生まれの畑岡奈紗、勝みなみ、新垣比菜、渋野日向子らは、黄金世代と呼ばれる。 そこに続くのが、2000年度生まれの選手たちで、こちらはプラチナ世代と称される。今大会には、そのプラチナ世代がアマチュアとして参戦してくる。安田祐香、後藤未有、古江彩佳、小倉彩愛ら、今春高校を卒業した選手たちである。 安田は高校2年生時に日本女子アマチュアゴルフ選手権に優勝、JLPGAツアー競技でも活躍してきた。2017年からここまで、17試合に出場して予選落ちは一度のみ。今年は、アジア・パシフィック女子アマチュアゴルフ選手権で優勝、オーガスタナショナル女子アマチュアで3位タイになった後、エビアン選手権、全英女子オープンと世界のメジャー大会にも出場し、ここでも予選を突破している。 後藤は、昨年大会のローアマチュアで全体の8位タイに入って、ナショナルオープンでも実績を残している。今年も日本女子アマ2位タイをはじめ好調を維持している。テンフィンガーグリップのショットメーカーだ。2017年大会で全体の3位となるローアマチュアに輝いたのが小倉。2015年の日本ジュニア(12~14歳の部)で優勝して注目され、順調に実力をつけてきた。今年は日本女子アマで4位だった。ナショナルチームの一員で国際競技の経験も豊富。大舞台慣れしている強みもある。古江は、滝川第二高校で安田と同期。プロ入りを目指しており、D地区で受けた一次テストでは3日間で実に通算24アンダーパーをマークし、格の違いを見せつけている。 今年の日本女子アマを制したのが西郷真央。プラチナ世代の1学年下で現在高校3年生。ジャンボ尾崎ゴルフアカデミーの1期生で同アカデミーの整備された練習場で腕を磨いてきた。そして、日本ジュニア(15~17歳の部)を制したのが梶谷翼だった。岡山県出身で滝川第二高校の1年生。安田、古江の後輩にあたる。また、同郷ということで中学生時代から渋野日向子と親交があり、青木翔コーチも渋野から紹介されて師事している。ナショナルチームのメンバーで国際競技の経験も積んで勢いに乗っている。
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