「朝から風が強くて、昨日の半分も飛ばなかった」。通算12アンダーパーとスコアを伸ばして単独トップに立ったペ ヒギョンは、そう言って笑いながらホールアウトしてきた。10番から連続バーディで好スタートを切りながら、12、15番をボギーにし、18番のバーディも後半にターンした2番のボギーで帳消しにして伸び悩んだ11ホール分のプレーを、風のせいにして笑い飛ばしたかったのだろう。スタート時のスコアに戻ったことで、13ホール目の4番からスイッチが入った。ここからの6ホールで4バーディを奪っての通算12アンダーパーでのホールアウトとなったのだった。
「4番からは、アイアンショットが良くなった。バーディ
チャンスは、大体3メートル前後についていて、それが決まってくれた」。ボールをホールに沈めたパターは、この大会直前に切り替えたものだ。「ゴルフ5レディスまで、パッティングには苦しめられていたんです。好きなタイプのパターだったのに、なかなかタッチが合わなくなって…。替えるにしても、それでもっと悪くなったら…なんて考えて、踏ん切りがつかなかったんです」。本選手権直前に見つけたのが、同じモデルのパターでフェース面の材質だけが異なるものだった。試してみると、転がりも良く、タッチも合った。そこで、持ち替えることにしたのだそうだ。ついでに3本のウェッジも替えた。
「ラフからのショットでも、前のモデルより止まりやすくなっていたので、こちらも新品にしました」。このウェッジが働いたのは最終9番ホールだった。1オンチャレンジの距離の短いパー4で、ドライバーショットはグリーン左手前のラフで止まった。ここからフワリと上げてピタリと寄せたのが58度のサンドウェッジだった。
「後半は、新しくしたクラブたちが働いてくれたし、いい流れのままホールアウトできました。でも、私は調子には乗りません。4日間の試合だった資生堂でも第2ラウンドを終えてトップに立ちましたが、第3、第4ラウンドとスコアを落としています。もっと丁寧にゴルフをしなければいけなかった。反省しているんです」。
ペ ヒギョンといえば、攻撃的なゴルフを展開するタイプだと思っていたが、本選手権では「丁寧なプレーを優先して、チャンスが来るのを待ちます」というから、クラブばかりか、ゴルフスタイルまで切り替えたのだろうか。
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