雨の中をスタートしていった今平周吾には、ずるずると後退していく気配があった。ドライバーショットが不安定で、ラフに打ち込むホールが続いた。11、14、15番。ボギーが先行して、6ホールを終えたところで通算3オーバーパーにまでスコアを崩していた。「雨でドライバーのインパクトでボールが滑ってしまって…」ラウンド中に表情を変えることのない今平も、さすがに顔を曇らせた。
今平らしいキレのあるショットが蘇ったのは、16番(パー5)からだった。1、2打目ともフェアウェイをとらえた後、第3打を絶好の位置に乗せてパットを決めた。続く距離の長いパー3では、ユーティリティー3番でピン横2メートルに、ピタリと止めた
。このクラブからは、後半にターンしての2番(パー3)でもファインショットが生まれた。ここも4メートルほどにつけて、バーディを奪った。これで、15番までの3ボギーの分を全て取り返し、スタート時点のイーブンパーに戻した。「3オーバーまでいっていたから、そこからの挽回もあって、自分としては頑張れた長い1日だった(雨で2度の中断があった)と思います」。
その頑張りへの分岐点は、どこにあったのだろう。このコースを練習ラウンドでプレーしたときのことを思い出したという。「難しいコースでスコアをまとめていくには、何が必要なのか。自分なりに答えは出していたつもりだった」という。その答えとは「ホールによって、攻め方、守り方が幾通りもあります。その中で、ひとつに決めていく。そして、決めたら躊躇しないこと。迷ったままでは、どう打っても、すぐボギーになってしまう。違う攻め方の方がよかったのではないか…なんて、後ろ向きにもなる。決めてやったら、結果に振り回されず、受け止めて次に進んでいくことが大切だ」というものであった。
この思い切りの良さが、今平の第2ラウンドのゴルフを蘇らせた。4番をボギーにしたものの、6、7番を連続バーディにして通算1アンダーパー。最終9番ホールも2オンさせて、アンダーパーのままホールアウトするか。そんな流れを感じさせたが、ファーストパットを1メートルほどに寄せた後のパーパットをはずしてしまった。「短いので油断したわけではなかったのですが、思ったよりも切れるラインでした。ま、悔やまれるボギーにはなりましたが、全体のゴルフで考えるなら、頑張れたと思います」。残る2日間も欲張らずに、パーを基準にしての組み立てで難コースに対峙していくと、いつもの穏やかな表情に戻って淡々と語った。
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