2019年度(第84回)日本オープンゴルフ選手権競技
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「平成」から「令和」に元号が変わって迎えた日本のツアーでは、相次いで不思議なことや、意外なこと、さらには奇跡とも呼べそうなことが起きている。
令和になって最初のトーナメントだった中日クラウンズでは、最終ラウンドの最終ホールでカップの縁に止まりかけていたボールが、最後のひと揺れでポトリとカップに落ち込んだ。46歳、宮本勝昌のウィニングパットだった。続くアジアパシフィック ダイヤモンドカップゴルフでは、マンデートーナメントからの出場だった浅地洋佑が、このチャンスを生かして粘りに粘ってツアー初優勝につなげた。
翌々週の関西オープンでは、大槻智春がプロ10年目にして初優勝。さらに続く日本ゴルフツアー選手権でも堀川未来夢が第1ラウンドから首位を走り続ける完全優勝で、これまたツアー初優勝を果たした。
まだある。日本プロゴルフ選手権では、腰痛とドライバーショットの不振で苦しんできた石川遼が、奇跡的な展開で3年ぶりのツアー15勝目を挙げると、セガサミーカップも制して2試合連続優勝で完全復活を宣した。そしてKBCオーガスタでは、158センチとツアーで最も小柄な比嘉一貴が、逃げ切りで初優勝を遂げた。ANAオープンは5人のプレーオフという珍しい展開から浅地が2勝目を挙げた。
令和の不思議は、日本オープンでも引き継がれそうだ。さて、どんなドラマが待っているのか。
 
  完全復活した石川遼は、日本プロに続いて日本オープン制覇を狙う
3年ぶりのツアー15勝目となった日本プロゴルフ選手権で勝利者インタビューのマイクを向けられた石川遼は「この時点になっても、自分がここに立っていることが信じられない気持ちです」と意外性の連続だったゲームを振り返った。
雨で変則スケジュールになることを余儀なくされ、石川の最終ラウンドは36ホールの長丁場となった。最初の18ホール(第3ラウンド)はダブルボギー連発などで首位に7打差と大きく後退していた。
このダブルボギーでプレーオフとなるのだが、石川自身が「何故だかわからない」という不思議は、そこにも待っていた。18番(パー5)を使って行われたプレーオフ1ホール目。右斜面に打ち出してドローボールでフェアウェイに戻してくる計算だったというティーショットは、狙いよりも右に飛び出した。戻り切らない。斜面のラフに止まってしまうはずだった。しかし、ボールはカート道路を直撃して大きく前に跳ね、フェアウェイに跳び出していった。黄のボールよりも50ヤードも前にいっていた。やや打ち上げとなるピンまで200ヤードの距離を5番アイアンで打ったショットは会心の1打となってピン奥4メートルに。これを1発で沈めるイーグルで勝負を決めたのだった。
2017年秋まで5シーズン戦ったUSPGAツアーを撤退し、日本ツアーに復帰しても、不振は続いていた。スイング改造に取り組む日々。腰が音を上げた。腰痛発症。選手会長も任された。新企画を考えだし、関係者に説明して協力をお願いする。そちらの仕事にも積極的に取り組んだ。そして、選手として自らを立ち直らせるためにトレーニング方法を見直し、愛用クラブも見直し、スイングも自分が考える理想に向かって挑み続けた。帰国時から比べると、石川の首はひと回り以上太くなった。肩、背中の盛り上がり、さらに左右上腕部の筋肉もシャツの袖口をパンパンにするほどたくましくなっている。
セガサミーカップは“不思議の勝ち”ではなかった。勝つべくして2戦連続優勝を手繰り寄せた。だからこそ「今の自分のゴルフは、これまでで一番高いレベルにある」と言い、完全復活を宣した。17歳のときに、フルスイングするドライバーショットを武器に優勝争いを演じて2位の成績を残した思い出の古賀ゴルフ・クラブ。11年の時を経て、石川が古賀ゴルフ・クラブをどのように攻め、日本一の座を目指すのか。注目だ。
 
浅地洋佑、大槻智春、堀川未来夢、比嘉一貴それぞれの初優勝 浅地洋佑、大槻智春、堀川未来夢、比嘉一貴

 アジアパシフィック ダイヤモンドカップゴルフ。浅地はマンデートーナメントを突破して出場権をつかんだ。せっかくのチャンスである。最終ラウンドまで、粘り抜いた。ショットが万全だったわけではない。グリーンを狙ったショットがはずれる。最終ラウンド、実に10回のワンパットでのパーを数えた。グリーン周りでの寄せは、ピッチアンドランあり、ロブショットあり…と、多彩な技を見せ、バンカーからもスピンを利かせたり、ランを使ったりと、状況に応じたショットでピンに寄せた。ピンチをしのぎ切っての初優勝であった。
2016年はドライバーショットが荒れた。2017年はパッティングで手が動かなくなるイップスにも襲われた。デーブ・ストックトンのパッティング教則本を何度読み返したことか。そんな長い苦しみの先にたどりついた初優勝であった。トンネルを抜けると、ANAオープンでの5選手によるプレーオフを制するツアー2勝目が待っていた。
関西オープンでプロ10年目にしてツアー初優勝を果たした大槻も厳しいプロ生活を送ってきた。2010年にプロ転向したものの、そこからの7年間で出場できたツアー競技は、わずか3試合だけだった。日本大学時代は、小平智と同期でアマチュア界をリードする存在だったが、プロでは、さっぱり芽が出なかった。2017年にチャレンジツアー(現AbemaTVツアー)の賞金王になって、ようやくレギュラーツアーまで這い上ってきた。大槻もまた、令和になって大きな花を咲かせた。

日本ゴルフツアー選手権で初優勝した堀川は、コンビを組んだ清水重憲キャディーに3つの約束ごとを突き付けられた。①120ヤードからは2ピン以内につけること②アプローチで距離感を出すこと③パッティングでタッチを合わせること―。それまでの大雑把なゴルフから、ち密なゴルフに変貌を遂げた先にあったのが、第1ラウンドから首位をひた走る完全優勝だった。
KBCオーガスタでは、比嘉が涙の初優勝を果たした。身長のことを聞かれる度に繰り返していたことがある。「小さいのは、しようがないじゃないですか。その体で準備できることに全力を尽くす。それをどこまで徹底できるかでしょう。僕は、結果を出せるまでやると決めています」。その結果を、KBCオーガスタで出して見せたのだった。

 
謎の病を克服した宮本勝昌。大会3勝目を目指す池田勇太。星野陸也、今平周吾の安定度
 
宮本 勝昌、池田 勇太、星野 陸也、今平 周吾 賞金シードを無くした昨年。宮本は6月にひどいめまいに襲われ、立てなくなった時期があった。原因が、細菌の感染で発症する神経の病気と分かるまでには時間が必要だった。「良い薬もない。いつ治るかもわからない。後遺症が残る可能性もゼロではない」。不安な日々が、1か月以上も続いた。症状が癒えても今度は腰痛を再発するなど、体もゴルフも思うようにならない1年間だったという。
今シーズン、パッティングのスタイルをアームロック式にかえた。藤田寛之から借りて試した中尺パターが、きっかけになった。新スタイルで臨んだ中日クラウンズで「こんな状態で勝ってしまっていいのだろうか…と、自分に問いかけたくなる」という優勝が転がり込んできたのだった。
池田は、ミズノオープンに優勝し、9月のフジサンケイクラシックで右足を痛めた。ANAオープンでは、足を引きずりながら意地の完走をして見せた。日本オープンでは2014年、2017年に続いて3大会目の優勝を目指す。痛む足で頂点に駆け上れるか。
今シーズンは、星野と今平の安定ぶりも目を引く。星野は、ダンロップスリクソン福島オープンに優勝したのをはじめ、トップ3入りも多い。今平は、シーズン未勝利も、賞金王になった昨シーズン同様、常に上位での戦いを続けている。平均ストローク1位(69.49)、パーキープ率1位、パーオン率2位(数字は、いずれもパナソニックオープン終了時)というデータも、今平の安定したゴルフを如実に物語っている。あとは、優勝だけである。
 
金谷を筆頭にアマチュア選手の活躍が、熱い
躍動する日本のアマチュア選手たち。男子では、金谷拓実がこの夏、世界アマチュアゴルフランキングで堂々の1位となった。日本人選手では、松山英樹に次いで2人目。その金谷を筆頭に、いま男子アマチュア選手も将来有望なポテンシャルを持った選手が多い。
また、JGAナショナルチームでの科学的データをもとにした指導も功を奏して、着実にそのレベルをあげている。
選手たちが自ら掲げる夢のハードルは、日本から世界へと設定し、高みへと邁進する熱気が溢れている。

金谷拓実が、アマチュアの世界ランキング1位になったのは、8月28日のことだった。日本人選手としては、2012年8月の松山英樹以来2人目のことである。この世界アマチュアゴルフランキングの順位は、そのまま実力評価につながり、世界中のトップアマチュアたちが、金谷を目標として切磋琢磨する。マスターズを皮切りに、全米アマチュアゴルフ選手権、そして全英オープンゴルフ選手権など、今季の金谷の戦いの場は、世界。金谷は追いかける立場から追われる立場になっている。その金谷を目標に男子アマチュア界は、有望な選手たちが生まれている。今年の日本アマチュアゴルフ選手権に優勝した木村太一は日本大学ゴルフ部の同期で桂川有人と合宿所の同部屋で、清水大成と「仲良し3人組」と言われている。「僕は、いいことがあっても浮かれないタイプなんですよ。ゴルフも1ホールで切っていくタイプで、よくも悪くも、そのホールが終わったら切り替えるんです」といい、優勝後のインタビューでは「これからは、この優勝で実力を過信しがちなところを、ちょっと自重して、またがんばります」と明るい性格である。
桂川は、中学卒業後フィリピンにゴルフ留学した。「ゴルフ場から徒歩圏内にホームステイ」していたという。そして日本大学に進学。2018年日本学生ゴルフ選手権に優勝し、日本オープンでは第2ラウンドを終えて単独首位にも立った実力者である。
そして米澤蓮。東北福祉大学2年。2018年アジア大会のゴルフで、団体金メダルを獲ったメンバー(金谷拓実・今野大喜・中島啓太)の一人である。米澤は、文字通り先輩の松山英樹と金谷の背中を追っている東北福祉大学の次期エースである。
もちろん彼らはローアマチュアの獲得を目指しているけれど、彼らの野望はもっと先にある。総合順位でできるだけ上位へ、という意欲をもって日本オープンに臨んでくるに違いない。

金谷 拓実、木村 太一、桂川 有人、米澤 蓮
 
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