塩見好輝の第3日は、5ホールを消化しただけでサスペンデッドとなった第2ラウンドの15番ホールから始まった。いきなり5メートルのバーディパットが決まった。続く16番(パー5)ではフェアウェイからの第3打を1メートルにつけての連続バーディを奪った。さらに18番でも第2打をまた1メートルに。後半にターンした1番でも、またまた1メートル。好ショットでバーディを量産した。快進撃は、ここまでだったが、あとはパーを続けて第2ラウンド終了時点で通算4アンダーパー。2位に3打差をつけて首位に立っていた。
「最初からウェットな状態だったので、ピンをデッドに狙っていっても止まってくれるだろうと思って、積極的に攻め
たのが良かったんだと思います」。
埼玉栄高校から東北福祉大学に進み、1学年上の藤本佳則や1学年下の松山英樹と学生ゴルフで活躍したあとプロ入りした。高校時代は3年生になったとき、今平周吾が入学してきた。第3ラウンドは、その今平と最終組で先輩・後輩の対決となった。後輩の印象は、強烈だったという。「ショットもパッティングも滅茶滅茶上手かったです。特にパッティングは、今よりももっと上手かったのではないかと思います」。今平は、その後中退して渡米したので、あとはプロになってからの邂逅となる。「プロになってからは、後輩という感覚ではなく、格上の存在になっていました」ということで、同組になった第3ラウンドでは「彼は、絶対に追い上げてくるだろうと思っていました」。
確かに3番(パー5)で今平はバーディを奪い、4打差を3打差に詰めてきた。それでも、塩見はパーをキープし続けた。最大のピンチかと思われた2番では5メートル近いパーパットを沈め、第3打をバンカーに打ち込んだ3番では、そこからピタリと寄せてパーをセーブした。「このコースは僕向きかな…って思っているんです。僕は、ゴルフが悪くなるとイライラして自滅することが多いんです。何度も痛い目にあっています。でも、このコースでは、ボギーを打っても、普通に起こることなので、イライラすることがありません。だから、いいんじゃないですかね」。
第3ラウンドの9番ホールで、フェアウェイをとらえたティーショット。残りはピンまで125ヤード。「大好きな距離でした」。48度のウェッジでピンの根元を狙った。1メートル弱。ピタッと止まった。陽が落ち始めた10番では「ラインが読み切れずに」ボギーを叩いたが、スタート時の津産4アンダーパーを守り切り、単独首位のままサスペンデッドとなった。
明日の第4日も、長い1日になる。今平との同組対決の延長、さらに最終ラウンドへと続く。
「追い詰められるのはわかっていますから、僕は必死に逃げます」。プロ初優勝が、日本オープンというビッグタイトル。夢ではなくなった。
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