優勝争いが混迷を極める中、ローアマチュア争いもそれと負けないくらいの混戦となった。
このローアマチュア争いをリードしていたのは、通算4オーバーパーで最終ラウンドをスタートした石坂友宏。石坂は、4番でダブルボギーを叩いたもののバウンスバックを決めるなど前半を2オーバーパーで凌ぐ。後半も1バーディ・1ボギーで必死のプレーを続ける中、石坂に忍び寄ったのが、4打差の30位タイスタートのJ・トンプソンと通算9オーバーパーで36位タイにつけていた桂川有人。石坂と同組でプレーをしていた桂川は、前半で4バーディ・2ボギーと2つスコアを伸ばすと12番もバーディで石阪を並走。一方のトンプソンも前半こそ4ボギーを叩いたが、1番(パー4)でチップインイーグルを決めて、ローアマチュア争いに加わってきた。
最終盤、一歩リードした桂川が14番でダブルボギーを喫すると、トンプソンはその後1つスコアを伸ばす。石坂は15番からの3連続ボギーと、ローアマチュアの行方は、想像がつかないほど混沌となっていった。それでも、桂川が2人に1打リードを保って迎えた最終ホール。このホールをパーで凌げばという場面で、桂川がアプローチをミスして痛恨のボギーフィニッシュ。これで、3人が通算9オーバーパーで並び、ローアマチュアを分け合うことになった。
それぞれが、「ローアマチュアを目標としてきた」という栄誉を分け合った3人。桂川は「最後はもったいないのがあったけれど、最終ラウンドでオーバーパーを叩かずに負えられたのは良かった。作年はセカンドアマに終わったので、今年こそはという気持ちでした」と、話すと、石坂は、「正直、悔しい気持ちが一番大きい。でも、この舞台に出場できたことが、自分としては大きな成長につながると思う」と、心情を吐露する。トンプソンは、「目標だったローアマチュアを獲れて、もちろん嬉しい。間違いなく自分の思い出に出来るし、これをきっかけに今後も活躍していきたい」と、胸を張る。
三者三様の思いはあるだろうが、ともにローアマチュアに贈られるボビー・ジョーンズ杯を手にした時には、この難攻不落の古賀ゴルフ・クラブで死闘を演じきった充実感と笑顔は、皆が同じだった。
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