堀川未来夢が、ちょうど17番(パー3)で第1打を打ち終えて、第2打地点にたどり着いたとき、グリーンサイドにあるリーダーボードの数字が入れ替わる音がした。塩見好輝が15番でトリプルボギーを叩いて、スコアを落としたらだった。堀川は、それを見て「あれ?」と思ったという。
堀川の17番の戦略は、パー3でありながら刻むと選択した。「いろいろ消去法というか、あれしかないという最高の位置に(第1打を)落としたんです。グリーン面を狙って落としたら絶対に(ボールが)止まらないので。手前50ヤードに7番アイアンで残すというのも考えたんですけど、やっぱり、あそこはグリーンを長く使えて、右手前のバンカーはOKで、左
手前のバンカーを消して、と消去法で考えてユーティリティー4番で打ちました」。
堀川の安全に攻めるという選択肢だった。17番のホールロケーションは、グリーン右奥手前から21ヤード。右から6ヤード。つまりグリーン右サイド、いっぱいいっぱいの奥にあった。ドローボールが持ち球の堀川にとっては、辛い位置だったのだろう。「攻め方としては、100点だと思います」と言った。ところが、心が揺らいだのが、自分と塩見が、首位で並んだという事実を知らされたことだった。その、わずかな心の動揺が、堀川のショットとパッティングにデリケートな変化があったのかも知れない。
カップ手前3メートル。それを外してボギー。
「(今日は)アプローチと、いやアプローチよりもパッティングが入ってくれていましたね」と堀川は言った。その言葉を裏付ける場面が、最終18番の第3打だった。第2打でグリーンに乗らずに手前のエッジ。そこからグリーンまでが上り、さらに21ヤード先にカップが切ってあった。ボール位置からおよそ30ヤードほどだった。
堀川が、選択したクラブは、パターだった。ところが4メートルほど短かった。長いパーパットを残した。入れればC・キムとのプレーオフにできる。堀川は、それを外した。1打足りずに2位タイとなった。
「いちばん自信のあるクラブ(パター)を選んだんです。安全策でもありましたから」と堀川が言った。「(このコースは)1ホールもサービスホールがなくて、パーを獲っていけば平均的に順位があがってくるというイメージで、ずっとパー5でもパーをとると決めていたんです。広い方へ広い方へと打っていったんです。それが功を奏してここまではこれたというのはあるんです」という堀川に、最後は勝利をもぎ取るというゴルフがあったら……と思う。
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