ラフに入れたらプラス0.5打。ファーストカットでプラス0.25打という表現が、かつてあった。メジャーやナショナルオープンでの、コース攻略の鍵は、フェアウェイキープにある、という定石だ。本大会も、選手たちは、ラフに悩まされている。深いラフの上部をしっかりと刈り取っているから、ボールは、すっぽりとラフの中に沈んでしまうケースがある。さしずめプラス0.75打と言っても過言ではないかも知れない。
けれども、手嶋多一には、それがあてはまらなかった。2バーディ・1ボギーの71。6位タイで第1ラウンドを終えた手嶋は「え?フェアウエイキープしたホールですか?たぶん、4、5ホールしかありませんでした。ともかく
ドライバーが散らばってしまって……。それがアイアンで刻んだときにも影響していましたから」という。逆に言えば、そんな状態でも、よくぞ1アンダーパーで回り終えたと感心する。それが、手嶋のゴルフだろう。粘り強さがある。
「拾い拾い拾いまくりました(笑)。今日のホールロケーションは、第1ラウンドなのに取りにくい位置でしたから、これが精一杯ですね」と語る。ドライバーショットの乱れの原因は、自分で分かっているという。じゃあ、これから修正練習ですね?と聞くと「いや、ホテルに帰ります(笑)。部屋で考えます(笑)。だって、今朝は4時起きだったんですよ。スタート時間が、トップから2番目の6時54分。いや久々の6時台のスタートでしたねぇ。いや、初めてかな。朝の練習場では、ちょうど太陽があがるときで、そのご来光を正面に浴びて練習しました。このところずっと試合に出ずっぱりなので、今日は明日に備えて、たっぷりと休養につとめます」と言う。手嶋は、この日高カントリークラブのようなレイアウトのコースは、嫌いではない。「そうなんですけどねぇ。ティーショット次第です。明日までに治っていれば、結構いいかも」と言い残してコースを立ち去った。粘って粘っての手嶋のゴルフは、それなりに大きな価値がある。
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