6バーディ・1ボギーの67という好スコアをマークした清水洋一は、日高出身の“ご当地選手”。実家は、コースから車で10分足らずの至近距離にある。本大会は、その実家からコースに通っている。
日高カントリークラブが本選手権の舞台に決まったときから、同クラブのメンバーや地元プロとのラウンド回数を増やしていった。さらにクラブの所属プロであり、後輩でもある島田隆央プロとも一緒にプレーし、グリーンの読みの正確さに驚かされて「大会ではキャディーをしてくれないか、と頼み込んだんです」。
その効果は、第1ラウンドからはっきりとスコアに現れた。最初のバーディとなった2番(パー3)。1オンして下りのフックライ
ンという状況だった。ラインを読んだ清水は、後輩プロの島田キャディーに確認した。すると、清水の読んだラインよりも、ずっと曲がり幅を大きくし、膨らませた地点を示してきた。「ここを通してください。ここから大きく切れてカップに向かっていきますから」。そのとおりだった。そこで清水は後輩に言った。「わかった。ライン読みは、全てお前に任せる」。
このコンビの、ちょっと面白いやりとりは、ずっと続いた。
「先輩、このホールはグリーンのどこでもいいですから、とりあえず乗せておいてください。このホールは、どこに乗っても自分にわからないラインはありませんから、任せておいてください」
「じゃあ、真ん中に乗せておけばいいな」
「OKです」
またパー5では、2打目をユーティリティでレイアップしようとする清水にキャディーが「待った」を掛ける。「ここは、そこまで飛ばす必要はありません。7番アイアンぐらいで120ヤード残してください」。この指示にも従って、実践すると、3打目のピッチングウェッジのショットはピンそば60センチについた。これが、5アンダーパーまでスコアを伸ばした17番ホールのやりとりと結果だった。
「このコースは、埼玉オープンなどでもラウンドしたし、かなり知っていたつもりでしたが、後輩は、もっと隅々まで知り尽くしていましたし、グリーンの傾斜にしても、自分では読み切れないところまで読んでくれたので、本当に彼に助けられました。
地元出身ということで、応援に駆けつけてくれた知人も多かった。「まだ始まったばかりではありますけど、後輩の助けを借りて、いいゴルフをして応援してくださる皆さんに喜んでいただきたいです」。
先輩・後輩のコンビネーションは、意志の疎通もスムーズで、実にうまくプレーに反映されている。
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