谷口徹が、第1ラウンドで66をマークして首位に躍り出た。
「ここ(シニア競技)に来ると、若手になれますからね。朝、練習場に行ってショットの音を聴いても、あー、ヘッドスピードが落ちているなぁ。でも、いけるいけるってね。レギュラーツアーだと、みんな若い選手が、えげつない音(インパクトの打音)なんですよ」と、嬉しそうな表情で語った。飛距離にしても、競い合えるのと、ほど遠く感じるのとは大違いだ。谷口にとって、シニア競技は、若さを取り戻せる大会なのかもしれない。とは言っても、楽々とプレーできるわけではない。出だしの2番(パー3)で、いきなりピンチが訪れた。ティーショットを曲げて、グリーン左バンカー。し
かも目玉状態。もちろん出すだけだった。ボギーはやむを得ないと覚悟した第3打の寄せが、なんとチップインしたのである。
「あれで流れができましたね」と谷口が言う。4番(パー5)でも2オンして8メートルにつけて2パットのバーディ。5番(パー4)でも3メートルを沈めてバーディ。谷口ペースだ。
「いや、最近はアイアンショットがあまり良くなくて、それがずっと課題なんですよ。自分がイメージして取り組んできたアイアンショットの打ち方と結果がマッチングしない。もっと簡潔に単純なスウィングにと取り組んでいるのですが。なかなかうまくいかない」と本人は言っている。けれども、8番では、1メートル。11番では、2メートル。13番が5メートル、そして15番が、3メートルと、決してグリーンを狙うアイアンショットが悪いという数字ではない。
「いやいや、それは(使用する番手)クラブが(レギュラーツアーの距離と比べて)短いからごまかせているんですよ」と言った。フェアウエイの左右のラフがきつく、どの選手たちもラフに入れたらボギー覚悟という中で、谷口はノーボギーのラウンドだった。
「助かるのが、ティーショットがいいことですね。右ドッグレッグも、(持ち球ドローの谷口であっても)よく集中してストレート気味に打てていますし、うまくコントロールできています」
第1ラウンドの組み合わせは、伊澤利光、深堀圭一郎だった。「伊澤とは、ほんと久しぶりだったなぁ。ほんと変わっていませんでしたね。相変わらずアグレッシブで、よくもまあ、あんなに難しいゴルフをするのかっていうくらい頑張ってしましたね。まぁ、伊澤くんの真骨頂ですけどね。楽しかったですよ。シニアになったんだから、もうちょっと楽にプレーすればいいのにって、見ていましたよ(笑)」
第1ラウンドから首位を走るゴルフ。百戦錬磨で、これまで数え切れないほど優勝争いをしている選手にとっては、こういうポジションで第1ラウンドからトーナメントを迎えることが、なにものにも代えがたい妙薬になるのだろう。
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