バーディチャンスは、いくつもあった。でも、そのパッティングが、なかなか入ってくれない。それは、崎山武志だけではない。どの選手も同じ気持ちだ。「どうしても、カップの先を見てしまうんですよね。もうちょっと強く。あと10センチ強く打てれば……」と崎山が話す。それは第2ラウンドのシビアなホールロケーションである。ちょっと強めに打ってしまうと、カップの先の下り傾斜は容赦なくボールを走らせ、ともするとグリーンからこぼれてしまうのだ。そんなシビアなホールロケーションに選手たちを惑わせる。
第1ラウンドでイーグルを奪った4番ホール(553ヤード・パー5)。この日も、フェアウェイ真ん中、残り260ヤードを3番
ウッドで狙った。グリーン右に外れたが、うまく寄せてのバーディ。
「7番ホールで、バーディチャンスにつけたんです。2メートルの距離。それが入らなかったんですよね」チャンスは、9番でもあった。3メートル。さらに11、12、13番。ことごとく入らない。
「どうしても距離感が合わない。ショートすることが多かったです。もし、強く打っちゃってオーバーしたら、と思うと、ね」と言った。もし、グリーンのスピードがもう少し速ければ、ひょっとすると悩ましさは半減したかもしれない。今日のグリーンのスピードは、選手たちには、悩ましい。打たなければいけないという意識と、もしオーバーしたら途方もなく転がるということが、選手たちの指先に過剰反応してしまう。
「がっついてバーディを狙っていけば、もっと大怪我をしたかも知れない。バーディを強引に取りに行くというよりも、ひたすらチャンスを待って、パープレーがいいんでしょうね」そうすれば、バーディが向こうからやってきてくれるかも知れない。
「昨日も、今日も、ボギーは1回ずつ。それは、ショットがいいことで助けられているのだと思います。ジワジワと明日からもやります」という崎山のゴルフ。久しぶりに、オールドマンパーという言葉が浮かんでくるプレーぶりだった。
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