朝のクラブハウス。第2ラウンドのホールロケーションが示されたコピー紙を手に、清水洋一は、頭を抱えていた。
「ものすごく難しいです。ほとんど狙ってはいけないところにホールが切られています。グリーンに乗っても、上ってから下るというラインが多くなります。しっかり打たなければいけないし、といって、ちょっとでも打ちすぎれば、もうコロコロ転がっていって止まってくれない。ひたすら耐えなければならない1日になりますね」。
コピー紙を見ただけで、各ホールの難しさがわかるほど、コースを熟知している清水である。乗せてはいけないところに乗ると、気持ちよくストロークできず、タッチが合わなくなる。怖さが先に立ってしま
うこともある。第2打で、よりシビアに狙いたくなる。グリーンを外したときには、転がした方がいいのか…でも、ピンをオーバーさせたくもない。スピンをかけやすいクラブで打とうか。迷いが生じて、いざ打つときには、腕に余分な力が入る。これらは、第2ラウンドのプレーをしたときに、清水の頭、体に実際に起こったことだった。
3パットがあった。花道からのアプローチショットで2度ザックリした。
「もっと単純に、厳しいホールは、パーでしのぎ、狙えそうなホールではしっかりバーディをとるというのが、本来やるべきゴルフなんでしょうけど、なまじコースを知っているために、複雑なゴルフをしてしまったと思います。知り過ぎているから、怖くなる。ビビリもでる。ええ、知り過ぎるのも善し悪しで、今日の自分は、“悪し”の方が出てしまいましたね」
4バーディ・5ボギーの73。前日の貯金をひとつ減らしてのホールアウトだった。「まあ、悪いことばかり振り返っても仕方がないので、1オーバーパーで済んでよかったと、そう考えることにします」。
後半のラウンドの2日間は、熟知を利とできるのか。それが、清水のゴルフのカギになる。
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