10番ホールからのスタートでいきなり3連続バーディを奪取した原。13番パー3ホールを3パットのボギーとしたものの、15番から、今度は4連続バーディを決めて、前半の9ホールは6アンダーパーの30と突っ走った。スタート前のアクシデントからすると、信じられないような快進撃であった。
ホテルで目覚めたときに「あれっ」と思ったという軽い腹痛が、コースに到着した時には、痛みを増していた。それをこらえながらのスタートだった。「どんなゴルフをしたか、最初の3ホールのことは、覚えていないんです」と、原はホールアウト後に打ち明けている。覚えていないという本人に代わって3ホールを振り返ってみよう。
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番では第2打でグリーンをはずした後、ピンまで15ヤードほどのアプローチショットをチップインさせた。11番では3メートルほどのバーディパットを決めた。そして12番パー5ホールでは第2打の3番ウッドでのショットをグリーン手前まで飛ばし、第3打を20センチに寄せての3連続バーディだった。
「そうそう、12番の第2打ぐらいから痛みがやわらぎ、2打目地点にいくと、すっかり消えていました。だから、そこからのことは、ちゃんと覚えています」。
15番(パー5)はピンまで95ヤードの第3打を2.5メートルにつけた。続く16番(パー4)は11メートルもあるロングパットが決まった。17番(パー3)は8番アイアンで2メートルに。18番も4メートルほどのパットを沈めての4連続バーディだった。
痛みが消えて「正気に戻れてからは、“こんなに気持ちよく振っちゃっていいの”と自分に問いかけたくなるほど1打に集中できていました」
ところが、後半にターンすると、快進撃に突然ストップがかかった。1番(パー5)で2オンさせながら、3パットでパーに終わらせてしまったのが暗転へのきっかけになった。「パーなのに、ボギーを打ったような気分になって、流れを自分で変えてしまいました」と原が振り返る痛恨の3パット。ドライバーショットはフェアウェイをとらえ続ける(第1ラウンドのフェアウェイキープ率は100%だった)がパットが決まらなくなっていた。7番で、この日3度目の3パットでボギーにすると、9番ではパーパットを決められずに、前半の貯金を2打落としてのホールアウトになってしまった。
「もったいないといえば、もったいない1日になってしまいましたね。でも、朝は“棄権しなくてはならないかな…”という状態だったことを考えれば、よくやったともいえる。それにしても、あの腹痛はびっくりでした。食中毒にでもなったのかと思いました。そんなことがないように、ずっと大好きな生ものを我慢してきたのに、なんてことだ。まあ、あの驚きから比べれば、前半と後半が違い過ぎたゴルフも驚きにはあたりません」
第2ラウンド以降の方針が固まった。大爆発した10番ホール以降は、攻めのゴルフでスコアを稼ぎ、1番ホールからは慎重に、ていねいなゴルフを心がける―というのが、それである。ホールアウト後のインタビューを終えると「それじゃあ、お休みなさい」と原。ホテルに戻ってベッドにもぐり込み、体を休めるつもりになっていた。
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