2020年度(第53回)日本女子オープンゴルフ選手権競技
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   鈴木愛VS黄金世代。昨年の女子ツアーは、この戦いを中心に展開された。シーズン序盤から黄金世代から続々と勝者が誕生し、渋野日向子というシンデレラガールが誕生したことでツアーは沸きに沸いた。日本女子オープンゴルフ選手権では畑岡奈紗が大会3度目の優勝を果たした。賞金女王争いもし烈を極め、シーズン最終戦までもつれ込んで鈴木愛が2度目の座についた。コロナウィルス禍でトーナメントスケジュールの大幅変更を余儀なくされた今シーズンも、昨年の流れが続くかと思われたが、こちらも大きな変化があった。笹生優花というスーパールーキーが現れ、瞬く間にツアーの中心におさまってしまった。高校生だった昨年のプロテストに一発合格し、ツアー2戦目のNEC軽井沢72ゴルフトーナメントで初優勝すると続くニトリレディスでも黄金世代を代表する選手のひとりである小祝さくらとの一騎打ちを制して2試合連続優勝という新人としての金字塔をうち立てた。
 もちろん、今大会でも最注目選手のひとりになるのは間違いあるまい。黄金世代から2年おいて安田祐香、古江彩佳、西村優菜らアマチュア時代から輝かしい実績を積んできたプラチナ世代と称される有望選手たちがプロ入りしてきた。さらにプロテスト日程の変更で2001年生まれの笹生優花、西郷真央といった21世紀世代も台頭の兆しを見せる。黄金世代とプラチナ世代にはさまれて“狭間世代”などと揶揄された中から稲見萌寧も勝利を挙げ「狭間ではなくダイヤモンド世代といわれるように頑張ります」と力強く宣言してみせた。
 鈴木愛の世代では、1学年上の大型プレーヤー・渡邉彩香が昨年までの不振から脱却し、アース・モンダミンカップで復活優勝し、第一線に戻ってきた。そして、AIG女子オープンで健在ぶりを示した上田桃子の存在感も忘れられない。畑岡、渋野の欠場は寂しいが、それを補って余りある世代間の新たな戦いは見どころ満載である。
 

輝き続ける黄金世代

 畑岡、渋野という黄金世代の牽引役がUSLPGAツアーのスケジュール都合で本大会は残念ながら欠場となったが、この世代は、実に層が厚い。欠場する両選手に代わって牽引役を務めるのは、小祝さくら、大里桃子、勝みなみ、吉本ひかる、原英莉花らの選手たち。小祝は、今季第3戦となったニトリレディスで笹生との接戦に敗れて2位に終わったが、続く第4戦のゴルフ5レディスでのぶっちぎり優勝でツアー2勝目を挙げた。コロナ禍で試合中止が相次いだこの期間に苦手だという走り込みをはじめ、フルスイングでの連続素振り、ショートゲーム調整といった練習に取り組み、体幹を鍛えるとともに飛距離アップの面でも成果をあげた。アイアンショットの切れ、精度も高まった。昨年よりも1ランク上のゴルフをライバルたちに見せつけている。デビュー当時から安定性には定評があったが、今大会では、それに鋭さが加わったことで優勝争いに加わってくるのは間違いのないところであろう。
 昨年大会2位タイの大里桃子は、「安定したドライバーショットとパッティングを続けられれば、今年も…」と上位での争いを念頭に置いている。
 原英莉花はジャンボ尾崎邸の練習場で笹生や西郷の先輩としてクラブを振り、トレーニングにも励んできた。姉弟子としては、日本女子オープンの舞台でこそ貫録を示したい。
鈴木 愛、渡邉 彩香

健在ぶりを示す実力者たち

 昨年大会は故障で日本女子オープンを欠場した鈴木愛だったが、戦列に復帰したときには、一気にスイッチオンの状態になっていた。11月の樋口久子三菱電機レディスでシーズン5勝目を挙げると、続くTOTOジャパンクラシック、伊藤園レディスと3試合連続優勝を果たして賞金女王争いでも申ジエ、渋野日向子を抜き去ってトップに躍り出た。女王の座をめぐる争いは、渋野の頑張りもあって最終戦にまでもつれ込んだものの、鈴木が2度目の女王の座に着いた。鈴木はシーズン7勝。黄金世代をひとまとめにして下す実力を見せつけた。今年の日本女子オープンは、欠場した昨年の分も取り戻すべく意気込みも新たに臨んでくるに違いない。
 鈴木愛の1学年上で1993年生まれの渡邉彩香、1学年下で1995年生まれの永峰咲希など、実力者たちも充実の時を迎えている。渡邉は、アース・モンダミンカップの優勝で完全復活を遂げた。圧倒的な飛距離を最大の武器にしていたが、持ち球であるスライスの曲がり幅を少なくしようと修正に取り組んだことが裏目に出て、いわゆる逆球にも悩まされていた。それを、本来のスライス打ちに戻したことで、ショットがそれなりに安定するようになった。「もう一度戦えるゴルフに戻せたことを実感できた。日本女子オープンでも優勝争いができるように頑張りたい。もう、迷いはありません」と、すっかり吹っ切れた様子で語っていたのが印象的だった。
 そして、永峰咲希である。9月10日から行われた日本女子プロゴルフ選手権で最終ラウンドに見事な逆転優勝を果たし、2018年のフジサンケイレディスクラシック以来のツアー2勝目を公式戦タイトルで飾った。安定したショットと正確なグリーンの読み、ロング、ミドルパットを次々に決めるスタイルは、好調時の鈴木愛のゴルフに重なるようだった。日本女子オープンでも、このゴルフが再現できれば、公式戦連覇も夢ではなさそうだ。この世代には、永峰と同期で昨シーズン2勝を挙げた柏原明日架や、日本女子プロゴルフ選手権で永峰に1打差の2位タイになった木村彩子もいる。
 AIG女子オープンで6位に入った上田桃子も改めて注目された。予選を突破すると、決勝の2日間は、ベテランらしい技の引き出しの多さでスコットランドのリンクスコースを攻略し、60台のスコアを並べて一気に浮上した。上田は、1985年生まれの宮里藍の1年下になる1986年生まれ。さらに1学年下の有村智恵とともに宮里藍としのぎを削った世代だ。
 有村は、ニトリレディスで最終ラウンドのプレーを終えると空路東京に戻り、翌日、千葉・カレドニアンゴルフクラブでの日本女子オープン最終予選に臨み、2日間のラウンドを3アンダーパーにまとめ、8位タイで本選出場権を手に入れた。本選でも上田とともに健在ぶりを見せてほしい。

永峰 咲希、上田 桃子、有村 智恵

新しい波プラチナ世代

 アマチュア時代に数々の国際試合を経験し、輝かしい実績を挙げたJGAナショナルチームのメンバー。黄金世代に対抗するようにプラチナ世代と呼ばれるようになった。その中から古江彩佳、安田祐香、西村優菜がプロとして日本女子オープンに出場する。古江は、昨年の富士通レディースにアマチュアとして出場し、優勝をさらってプロ転向した。安田、西村はプロテストに一発合格した。そして、最終予選を突破して本選出場へと駒を進めてきた。アマチュア時代から仲が良く、関西3羽ガラスと称されてもいた。アマチュア時代は安田が頭一つ抜きんでた存在だったが、プロでは、立場が入れ替わった感がある。ツアーでのアマチュア優勝を果たした古江は、すっかり自信をつけたようで堂々としている。西村も先の日本女子プロゴルフ選手権で3日目を終えて単独トップに立った。最終ラウンドはスコアを落として大金星を逃したが、大会の主役のひとりであったことは間違いない。ここでは、同世代での戦いも繰り広げられている。その間隙をついて、さらにもう一つ若い2001年生まれの選手たちが一躍脚光を浴びた。
古江 彩佳、西村 優菜、安田 祐香

21世紀世代とアマチュア

 2001年、21世紀生まれのスーパールーキーが現れた。笹生優花である。日本人の父・正和さんとフィリピン人の母・フリッツィーさんとの間にフィリピンで生まれ、一時は日本に住んでいたが、8歳でゴルフを始め、プロゴルファーになることを意識するようになると生活の場を日本からフィリピンに移し、祖母の家に住みながらゴルフに取り組むようになった。父親がフィリピンでも仕事をし、ゴルフ場のメンバーにもなっていた。そのゴルフ場ではメンバーの子供ならグリーンフィーは不要ということもあって、好きなだけ練習できる。ゴルフ環境を選んでのフィリピン生活であった。「世界一になりたい」という笹生の夢に向かって、父親は「それだったら、ゴルフだけでなく、体も鍛えなければならない」と過酷なまでのトレーニングを課した。足腰を鍛えるために取り組んだ野球のノック。父がバットで打ち、左右に飛び、転がってくるボールを娘が低い姿勢で大きくステップしながら捕球する。その足首には、錘が巻き付いていた。
 ゴルフ場にいけば、練習場でひたすらボールを打ち続ける。目指していたのはローリー・マキロイのスウィングだった。14歳で出場したフィリピンツアーの2016ICTSでプロを押しのけて優勝。18年アジア大会では個人戦金メダル。18、19年とフィリピン女子オープン連覇、さらに19年に初めて開催されたオーガスタ女子アマでは日本から出場した安田祐香とともに3位になっている。この他にも、数々の国際競技に出場する機会に恵まれた。
 おかげで、英語、日本語、フィリピン語(タガログ語)を自由に話せるのはもちろん、韓国語や中国語での日常会話もこなせるようになったという。
笹生 優、西郷 真央花
 高校在学中の昨年プロテストに一発合格して迎えたルーキーイヤー。第2戦となったNEC軽井沢72でプロ初優勝を遂げると、続くニトリレディスも制して2試合連続優勝をしてのけた。鍛え上げられた体でマキロイのようなバランスよく力強いスウィングから打ち出される弾道は高く、遠くにすさまじいスピードで飛んでいく。一緒に回った選手たちや、ドライビングレンジでの調整ぶりを見た選手は異口同音に「まるで男子プロのようなショット」と驚きの声を挙げたものだった。いったい何勝するのか。いっぺんに最注目選手になってしまった。
 21世紀世代としては、笹生とともにプロテスト合格した西郷真央もいる。麗澤高校3年時の2019年「日本女子アマチュアゴルフ選手権」で優勝。同年プロテストに合格。尾崎将司が主宰する「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」の1期生で、師匠からは「せごどん」の愛称で呼ばれる。プロテスト合格後は、笹生も同アカデミーの練習場で練習する姿があった。同期、同門の両選手には新ライバル関係も加わっている。
 21世紀世代よりもさらに若い有望アマチュアもいる。昨年大会、滝川第二高校の1年生でローアマチュア(全体の9位)になった梶谷翼が2年連続の栄誉をかけて出場してくる。最終予選を12位タイで突破した内田琴子、同19位タイ突破の佐久間朱莉らとのローアマチュア争いにも注目したい。
梶谷 翼、内田 琴子、佐久間 朱莉
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