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21世紀世代とアマチュア
2001年、21世紀生まれのスーパールーキーが現れた。笹生優花である。日本人の父・正和さんとフィリピン人の母・フリッツィーさんとの間にフィリピンで生まれ、一時は日本に住んでいたが、8歳でゴルフを始め、プロゴルファーになることを意識するようになると生活の場を日本からフィリピンに移し、祖母の家に住みながらゴルフに取り組むようになった。父親がフィリピンでも仕事をし、ゴルフ場のメンバーにもなっていた。そのゴルフ場ではメンバーの子供ならグリーンフィーは不要ということもあって、好きなだけ練習できる。ゴルフ環境を選んでのフィリピン生活であった。「世界一になりたい」という笹生の夢に向かって、父親は「それだったら、ゴルフだけでなく、体も鍛えなければならない」と過酷なまでのトレーニングを課した。足腰を鍛えるために取り組んだ野球のノック。父がバットで打ち、左右に飛び、転がってくるボールを娘が低い姿勢で大きくステップしながら捕球する。その足首には、錘が巻き付いていた。 ゴルフ場にいけば、練習場でひたすらボールを打ち続ける。目指していたのはローリー・マキロイのスウィングだった。14歳で出場したフィリピンツアーの2016ICTSでプロを押しのけて優勝。18年アジア大会では個人戦金メダル。18、19年とフィリピン女子オープン連覇、さらに19年に初めて開催されたオーガスタ女子アマでは日本から出場した安田祐香とともに3位になっている。この他にも、数々の国際競技に出場する機会に恵まれた。 おかげで、英語、日本語、フィリピン語(タガログ語)を自由に話せるのはもちろん、韓国語や中国語での日常会話もこなせるようになったという。
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高校在学中の昨年プロテストに一発合格して迎えたルーキーイヤー。第2戦となったNEC軽井沢72でプロ初優勝を遂げると、続くニトリレディスも制して2試合連続優勝をしてのけた。鍛え上げられた体でマキロイのようなバランスよく力強いスウィングから打ち出される弾道は高く、遠くにすさまじいスピードで飛んでいく。一緒に回った選手たちや、ドライビングレンジでの調整ぶりを見た選手は異口同音に「まるで男子プロのようなショット」と驚きの声を挙げたものだった。いったい何勝するのか。いっぺんに最注目選手になってしまった。 |
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21世紀世代としては、笹生とともにプロテスト合格した西郷真央もいる。麗澤高校3年時の2019年「日本女子アマチュアゴルフ選手権」で優勝。同年プロテストに合格。尾崎将司が主宰する「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」の1期生で、師匠からは「せごどん」の愛称で呼ばれる。プロテスト合格後は、笹生も同アカデミーの練習場で練習する姿があった。同期、同門の両選手には新ライバル関係も加わっている。 21世紀世代よりもさらに若い有望アマチュアもいる。昨年大会、滝川第二高校の1年生でローアマチュア(全体の9位)になった梶谷翼が2年連続の栄誉をかけて出場してくる。最終予選を12位タイで突破した内田琴子、同19位タイ突破の佐久間朱莉らとのローアマチュア争いにも注目したい。 |