上田桃子は今週、ショットの調子が思わしくない。それをなんとかカバーしながら踏ん張ってきていた。
「朝の練習場で、塩谷(育代プロ)さんが、ずっと練習を見ていたんですよ。私が尊敬している先輩なんですけど、(NHKの放送で)きっと私についてラウンドレポーターをするんだなと。前半、全体的に距離が長いので、どうしても(長い距離を打つ)ショットの調子がいまいちで、スコアにつながらなかったんです。それでも塩谷さんが、不安そうに見て応援してくれている気がしたんです(笑)。で、塩谷さんに、悪いな(笑)って後半は、もっとしっかりしないとって……」
今年の本選手権は、コロナ禍で一般非公開。関係者も厳選し
、極力人数を減らしている。選手にとっては「ギャラリーさんは、私達にとって大きな影響があるんですよ。ピンチのときでも、踏みとどませてもらえるし、力にもなります。良くも悪くも、いい声援が、力になります。無観客だと、自分でどうやって(テンションを)盛り上げるかですから難しいですよね」という上田に、尊敬する先輩の視線は、とても熱く感じられていたという。
「なんとか塩谷さんに仕事してもらおうって、踏ん張りました」と笑顔で語った。ラウンドレポーターにとっては、その目当ての選手の活躍をレポートするのが仕事だ。11番で「4〜5メートルのバーディパットが決まったときに、ナイス!って大きな声が聴こえたんです。嬉しかったですね」と言う。上田は、内心ホッとしたのだろう。
そこから12、14、17番とバーディをもぎ取って、ナイスカムバックして通算5アンダーパー、3位タイグループに入ってきた。
「パッティングは、いい感じなんですけどね。もうちょっとショットの調子がよくなれば……。明日は、大事なものを見失わないようにやろうと思っています。大事なもの……これまでの経験で得た引き出しや、野生の勘というか自分自身のプレーができればな、と思います」と語った。まだまだ諦めていない。
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