序盤の3ホールで流れを作り、それに乗れたという原英莉花とは対照的に、小祝は、その序盤で「今日は、流れが悪いな」と感じていたという。決定的だったのが4番だった。本選手権では、最も距離が短いパー3ホールである。8番アイアンのショットを引っ掛けてグリーン左ラフにはずした。「一番打ってはいけないところ。知っていながら、そこにいってしまった。寄せようがありませんでした」というボギーになったホールで「なんで、あんなショットになるんだろう」と自分を責めた。
そして、続く5番(パー4)ではドライバーショットをバンカーに打ち込んだ。止まったところが悪かった。ボールはバンカー。スタンスはバンカーの外という状
況で、まさに流れの悪さを物語るホールになった。このバンカーショットで無理をして、ボールはアゴに当たって前のラフに出ただけ。このダブルボギーで首位の座を明け渡すことになった。7番ではグリーン左サイドからの20メートルもありそうな距離を3パットしてボギーにした。
原は、自分の世界に入り込み、ロングパットを次々ときめていく。「なんか、途中から“今日の英莉花ちゃんは、うまいなぁ”なんて、見せられてしまいました」。
後半に入っても、なかなかエンジンがかからなかった小祝だったが、ラウンド中に試みたタイミング、リズム修正が、徐々に実を結び、ショットは回復の兆しを見せ始めた。といっても、ピンチに見舞われることはない…という状態になっただけで追撃ムードにはならなかった。
6打差に広げられて迎えた最終ホール。小祝は最後に攻めのゴルフを披露した。「そういう流れではなかったのですけど、このまま終わったのでは、最終ラウンドに気持ちを切り替えられないと思ったので、勇気を出してピンを狙いました。第2打はグリーン奥のピンまで185ヤードで、ちょっと逆風でした。最初は4番ハイブリットを手にしたのですが、それではピンまでの距離を打ち切れないと思って3番ハイブリットに持ち替えました。ちょっとオーバーしましたけど、ピンにまっすぐ飛んでいってくれる良いショットでした」。
ボールはカラー部分にこぼれたもののピンまでは8メートルの距離。これを58度のサンドウェッジで狙い撃ちし、チップインのバーディで締めくくった。17番で原が先にチップインさせていた。18番では、小祝がチップイン返しして、ボギーを叩いた原に4打差と詰めた。
最終ラウンドも続く両者の戦い。その間には、だれも割り込ませない!そんな気迫が伝わってくる終盤プレーのやり取りであった。
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